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女性の病気
女性ホルモンが関係する更年期障害や子宮筋腫など
女性が成熟期から閉経期(月経の停止)へと向かう生理的な転換期が更年期といわれる時期で、一般に四十六歳頃から五十五、六歳くらいまでにあたります。
この時期は、生殖年齢を終えて女性ホルモンの分泌が低下してくる時期で、そのためのさまざまな症状が現れることがあります。
いわゆる更年期障害と呼ばれるものですが、同時にまた、男性と同じく、さまざまな成人病やがんが芽を吹いてくるのも、この頃からです。
乳がんや子宮がん(とくに子宮体がん)も増えてきますし、子宮筋腫もよく見つかるようになります。
女性に多い骨粗鬆症も増加し始めます。
乳がん、子宮がん、骨粗鬆症などは以前に解説していますので、ここでは更年期障害や子宮筋腫などの女性特有の障害・疾患について説明します。
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女性の更年期障害
最大に原因はストロゲンの低下
女性のからだは微妙なホルモンバランスによって支えられています。
とくに卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンの影響を大きく受けています。
エストロゲンは、思春期からじよじよに分泌が盛んになり、二十歳から四十五歳くらいまでの成熟期にかけてもっとも活発に分泌されて、女性らしいからだつきをつくったり、排卵その他の生殖機能を充実させて、妊娠、出産、育児という大きな役割を担う女性のからだをコントロールしています。
そして、この時期を過ぎて更年期を迎えると、閉経に向かって卵巣は急激に衰え始め、それに伴ってエストロゲンの分泌も低下してきます。
このエストロゲンの分泌低下が、内分泌器官に影響を与えて、からだにいろいろと不快な症状をもたらします。
これが、いわゆる更年期障害と呼ばれるものですが、これといった症状もなく過ぎていく人もあれば、それ以前からさまざまな症状に悩まされる人もおり、その始まりや症状には大きく個人差があります。
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子宮筋腫
四〜五人に1人いる良性の腫癌
子宮の筋肉がこぶ状にふくらむ良性の腫瘍です。
女性性器に発生する腫瘍でもっとも多いもので、三十代以降の女性では、四〜五人に一人あるといわれます。
その発育にはエストロゲン(女性ホルモン)が深く関係しているといわれています。
筋腫のできる場所によっては、強い症状が出ることがありますが、子宮がん検診などで偶然見つかることも少なくありません。
子宮筋腫には、その発生した部位によって、つぎの三タイプがあります。
しょう膜筋腫
もっとも多いタイプで、子宮を包む外側の膜(しょう膜)に発生します。
茎状に伸びるものやごつごつした塊状のものが多発するものがあります。
全体的に大きくなる傾向がありますが、ほとんど無症状のことが多く、過多月経や貧血もみられません。
筋層内筋腫
子宮内の筋層にできるものです。単発のものであれば増大することはあまりありませんが、子宮腺筋症(子宮内膜と類似した組織が、子宮筋層内に発育するもの)との合併がけっこうみられます。
不正性器出血や過多月経から貧血を起こしたりすることがあります。
粘膜下筋腫
子宮内膜の粘膜にできるもので、粘膜内ポリープとまちがえられることもあります。
月経を起こす子宮内膜にできるので、それほど大きなものでなくても、過多月経で貧血になりやすかったり、月経痛が強かったり、不正出血がみられたりします。
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子宮筋腫の治療
子宮筋腫は婦人科の内診と超音波検査によって、その位置、大きさもすぐわかります。
子宮がん検診などの際に偶然見つかり、とくに症状もなければ、そのままようすをみることも多く、がんとも関係ありません。
手術の適応は粘膜下、筋層内、渠膜下の順で多くなりますが、実際に手術の対象になるほどの筋腫は、全子宮筋腫の一〜二%程度です。
子宮筋腫にはエストロゲン依存性があります。
そこで、最近では、エストロゲンを低下させて筋腫の発育を抑制する薬物療法(疑似閉経療法)が主流になりつつあります。
これには副作用として、多少の更年期障害様(閉経様)症状がみられることがあります。
普通、閉経後は萎縮することが多いので、治療の必要性は少なくなりますが、年に一度の子宮がん検診の際に、筋腫のほうもチェックしてもらうことをすすめます。
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女性の更年期障害の治療
卵巣機能衰退症状にホルモン補充療法
まず、それがほんとうに更年期障害による症状なのかを正確にチェックし、その判断がついたら、患者さんにとってどんな治療法が適しているかを検討します。
更年期障害は卵巣機能の低下に本体がありますから、卵巣ホルモン(エストロゲン)を中心としたホルモン療法が主体となります。
ほとんどの場合、自律神経失調症状を訴えますので、自律神経機能を調整するための自律神経調整薬を用いたり、自律神経訓練法などを取り入れることもあります。
漢方薬による治療も、よく行われます。
漢方療法はいろいろな分野で利用されていますが、その通客筋のなかでも、とくに更年期障害はもっとも多い疾患です。
意外なほどの効果があり、症状が改善されることが少なくありません。
その症状が心理的な要因や社会的なストレスから起きていると考えられる場合には、ホルモン療法はあまり効果はありません。
むしろ、カウンセリングや生活環境の改善が治療の主体となります。
情緒障害や抑うつ症状には精神安定剤や向精神薬、抗うつ薬などの精神科領域の薬が用いられます。
ここでは、近年、普及してきたホルモン補充療法について簡単に紹介します。
ホルモン補充療法HRT
卵巣機能が衰退して分泌が低下した女性ホルモン(エストロゲン)を体外から補給して卵巣機能をカバーすることによって、さまざまな障害を解決しようという治療法が、ホルモン補充療法です。
女性は閉経前には、卵巣からエストロゲンと黄体ホルモンという二種類のホルモンが分泌されています。ホルモン補充療法に使われる製剤は、基本的にこれと同じものです。
すなわちエストロゲン製剤を中心に、これに黄体ホルモン製剤を併用します。
効果を大きく、副作用を小さくするために、使用するホルモンの種類や量、投薬方法はいろいろくふうされています。
また、最近では、皮膚に貼ってエストロゲンを皮膚吸収させる貼付製剤も出てきました。
副作用
女性ホルモン製剤を使用するにあたってもっとも注意しなければならないのは、エストロゲンが重要な働きをしている乳腺や子宮内膜に発症するがんです。
エストロゲン製剤を単独で使用すると、乳がんや子宮体がん(子宮内膜がん)の発生率が上昇し、治療期間が長くなるほど、さらに発生率は上昇するというデータがあります。
しかし、今日では、黄体ホルモンを併用することによって、子宮体がんの発生率はむしろ低下することがわかっています。
乳がんについては、黄体ホルモンを併用しても、その発生率は改善されないため、乳がん検診はとくにたいせつです。
また、エストリオールという作用のおだやかな製剤を使用すれば、子宮体がん、乳がんともに発症率は上昇しませんが、その代わり作用も比較的弱くなります。
ホルモン補充療法の目的は、つらい更年期障害の症状を抑えるだけでなく、さらに重要な目的は、閉経期からのエストロゲン欠乏がからだの状況を変化させて、やがて病気として発症してくることになる成人病の予防にあります。
その病気とは、高脂血症、動脈硬化症、骨粗繋症、脳機能低下などです。
高脂血症、動脈硬化症の予防
これらの疾患は、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳血管障害(脳卒中)の引き金になります。
とくに女性の場合、閉経期から高脂血症が急激に増えてきます。
総コレステロールも中性脂肪も増加しますが、とくに問題は動脈硬化の原因物質である感玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加と、血管から余分なコレステロールを除去する善玉コレステロール(HDLコレステロール)の減少です。
エストロゲンは、コレステロールを原料にしてつくられるので、コレステロールを消費したり、肝臓でのコレステロール代謝にかかわって、亜芸LDLの増加を防いでいますが、エストロゲンの欠乏によって、この作用が低下します。
ホルモン補充療法は、体内のエストロゲンの環境を整えることによって、増えた悪玉コレステロールを減らし、減った善玉コレステロールを増やして、高脂血症の悪化を抑え、動脈硬化の進展を予防します。
骨粗老症の予防
エストロゲンは骨をつくることを助け、骨が破壊されることを防ぐ働きを持っています。
そのため、エストロゲンが欠乏すると、この逆の現象が起き、簡単にいうと骨がすかすかになって、もろくなってしまうのです。その結果、骨折しやすくなります。
とくに大腿の付け根と、背骨の圧迫骨折が多く、重い腰痛や歩行障害の原因となり、高齢になると「寝たきり」の原因にもなります。
いま閉経期前後の女性で、積極的にホルモン補充療法を受ける人が増えています。
これは、更年期症状の改善だけでなく、将来の動脈硬化や骨粗皐症による寝たきりのリスクと、副作用としての子宮体がんや乳がんのリスクのどちらをとるかを考えてのことでしょう。
それぞれ個人の選択ですが、ホルモン補充療法を受けている人は 定期的に乳がん、子宮体がんの検診を受けることになるので、むしろ早期に発見される可能性が高いということもいえるのです。
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女性の更年期障害の症状
更年期はひとつのホルモン変動期で、そのためにいろいろな症状が出るわけですが、ある程度時間がたって、からだがエストロゲンの低下に順応してしまえば、症状がおさまってしまうことも少なくありません。
しかし、症状が強く長く続く人にとっては、たいへんつらい時期です。
更年期障害の症状は、非常に多彩でこれらをまとめて「不定愁訴」と呼んでいます。
更年期障害の症状には、次のような特徴があります。
一、本人は自覚症状があってつらいが、客観的にはわからない不定愁訴の集まり
二、一つだけでなく、同時にいくつもの不定愁訴を訴える。
たとえば、イライラして、立ちくらみがして、足腰も痛いなど
三、天候や環境、心理的要因など外部の影響を受けやすく、それによって症状が出たり出なかったり、よくなったりわるくなったりする
四、症状の場所や種類は常に一定ではなく、変化しやすい
更年期障害の本体は卵巣機能の低下、停止によって起こるエストロゲン欠乏症状ですが、環境の変化によるストレスや、個人の気質や心理的な側面も深くからみ合って症状が現れると考えられます。
更年期障害は非常に多彩な症状の集積で、これと特定できる決定的な症状はありません。
他の疾患でもみられる症状ばかりですから、ちょうど更年期あたりからかかりやすくなる他の疾患を見逃さないように注意することも必要です。
たとえば、更年期障害としての腰痛なのか、椎間板ヘルニアや変形性脊椎症なのか、あるいは単にイライラしたり、やる気がないだけなのか、それとも神経症やうつ病が隠れているのかなど、まざらわしいことが少なくありません。
放置すると進行したり、重大な結果をもたらす疾患もありますので、まずその症状に関係する科を受診して、必要があれば適切な検査や治療を受けたほうがよいでしょう。
そして、症状があっても、どこにも異常がみつからないというときに、更年期障害の可能性が高いと考えたほうが安全です。
更年期障害とまざらわしい病気では、内科領域では肥満、高血圧、低血圧、貧血、甲状腺機能異常、肝機能障害、動脈硬化症など、
整形外科領域では、変形性脊椎症、骨粗鬆症、椎間板ヘルニアなど、
精神科領域では神経症、うつ病などがあげられます。
また、卵巣機能の衰退する閉経期前後には、エストロゲンのバランスのくずれから子宮の異常出血が起こりやすくなったり、脛粘膜の炎症も起こりやすくなって血液の混じったおりものがみられることもあります。
実際には心配のない出血のことが多いのですが、なんらかの性器出血や異常なおりものがあったら、念のため子宮がんや卵巣がんの検査を受けておいたほうが賢明です。
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