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神経症
不安や恐怖、強迫、心気、抑うつなど 心の病気の代表といえば、神経症(ノイローゼ)です。
この病名や概念は、長い間、医学的にも、一般的にもよく用いられてきたもので、日本ではいまでも日常臨床的な重要さは失われていません。
不安症
不安発作、全般性不安、予期不安からなります。
不安とは、漠然とした対象のない恐れの感情です。軽い場合には、「イライラ」、「そわそわ」という状態であることもあります。
不安発作は、恐慌発作、パニック発作ともいいます。
突然、理由や誘因なく、呼吸困難(過呼吸の場合もある)、動惇、胸痛、窒息感、手足のしびれ、気が遠くなる感じ、冷や汗、ふるえなどに襲われます。
いいようのない不安、気が狂ってしまうのではないか、死んでしまうのではないかと思い、周囲に助けを求めたり、救急車を呼んだりします。
全般性不安とは、慢性の不安状態です。
不安発作の間に現れますが、発作を経験しないで出現することもあります。
不安発作を経験している場合には、また発作がくるのではないかという予期不安があります。
このため、外出できない、乗り物に乗れないなどの行動の障害が出ることもあります。
恐怖(神経)症
恐怖とは対象のある恐れをいいます。
空間恐怖には、閉所恐怖、高所恐怖、広場恐怖、それに伴う外出恐怖などがあります。
社会恐怖は、社会的自己の不安で、対人恐怖として現れます。
対人場面で、自己の状態に不安を持ち、それが他人にどうみられるかを恐れるものです。
対人恐怖は、赤面恐怖、視線恐怖のはかに、自己臭恐怖や醜貌恐怖を含みます。
疾病恐怖には、エイズ恐怖、がん恐怖などがあります。
特定の物体や状況に対する恐怖としては、先端恐怖、動物恐怖、不潔恐怖などがあります。
強迫(神経)症
強迫観念や強迫行為によって、思考や行動の障害をきたす神経症をいいます。
強迫観念または強迫思考とは、自分では不合理でばからしいと思っていることですが、その観念が浮かんできて、追い払えないことをいいます。
たとえば、人を傷つけたり、殺してしまうのではないか、下品な言葉をいってしまうのではないか、考えたくないのに性的シーンが浮かんできてしまう、などです。
強迫行為とは、無意味であることを承知なのに、それでもそうしないと気がすまないことです。
たとえば、何度も手を洗う洗浄強迫、何度もガスや電気、戸締まりを確認しないといられない確認強迫、複雑な手順をふまないと納得しない強迫儀式などがあります。
これらは、したくないのに、しないと気がすまないという苦痛をもたらします。
ヒステリー(神経)症
転換型は、転換ヒステリー、転換性障害ともいいます。
心理的次元の不安や葛と、つ藤が、身体的次元の症状に転換するという意味です。
転換症状としては、のどにものがつまった感じ(ヒステリー球)、囁下困難、失声、呼吸困難、失明、二重視、視力低下、視野狭窄、運動マヒ、失立、失歩、けいれん発作、意識喪失、全身各部の慢性痺痛などがあります。
解離型は、人格の統合がゆるんだり失われて、極端な場合、人格が二重または多重に分離した状態をいいます。
家庭や職場からの突然の失踪(ヒステリー性遁走)、その間の記憶の障害、これまでの生活の一部または全部の記憶の障害(ヒステリー性健忘)などがあります。
退行型は、心の働きが、発達的にみて、より未熟な水準に逆戻りするもので、葛藤に関係する自我機能に影響します。
心気(神経)症
頭痛、肩こり、倦怠感、関節痛など心身のささいな不調にとらわれ、必要以上にこないかと恐れ、しかもその心配を周囲に執拗に訴え続ける状態をいいます。
多くは、その背景にうつや不安を持っており、心理特性から、うつ病や不安神経症と診断されることもあります。
抑うつ(神経)症
抑うつ気分が主症状となる神経症。
現実検討能力は保たれており、うつ病のような精神病的症状はみられません。
軽症うつ病との判別は容易ではありません。
離人(神経)症
自分の思考や行動を自分がしているという実感がない(自己の人格に対する喪失感)、自分のからだでない感じ(自己の身体に対する喪失感)、周囲がしっくりこない、なにを見ても現実感がない(外界に関する喪失感)。
このような触人症状以外には、精神症状がなくて経過する神経症を、いいます。
分裂病、うつ病でもみられ、健康な人でも一過性に体験することがあります。
神経衰弱症
不眠、注意・集中の低下、過敏性の亢進、焦燥感、意欲減退などの精神症状のほかに、脱力感、頭痛、頭重などの身体症状を伴った状態をいいます。
心理的な緊張の持続、ストレスの続くしごとなど、心身の過労によるものとされています。
心気神経症の不安心気状態と重なる部分と、大脳皮質のストレス反応による自律神経失調症(心身症)と考えられる部分があります。
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うつ病
絶望感などの気分で不眠など身体症状も
寂しさ、絶望感、無力感、罪責感、自己批判的観念、外的な活動への興味の喪失などによって表現される、気分ないし感情の障害をいいます。
同時に、精神運動性は遅くなり、不眠(とくに早朝覚醒)、全身倦怠感、疲れやすい、食欲不振、便秘、性欲低下などが起こります。
うつ病は、大きく分けると、内因性うつ病と神経症性うつ病があるとされてきました。
前者には、うつ病親和性の病前性格(執着性格、メランコリー型、類てんかん性性格)が関係し、発病するのはこのようなタイプの人たちであり、特定の家系に多いという考えもありました。
つまり、特定の心因の関与なしに、内因性精神病として発症するというわけです。
後者は、心因性、反応性に発症するものと分類されていました。
しかし、最近は、この区別が難しい例が多くなってきました。
傾向として、非定型化、軽症化例が増えています。
それとともに、有病率が増加し、最近のアメリカの統計では、生涯有病率は、女性が十〜二十五%、男性が五〜十二%、時点有病率は、女性で五〜九%、男性で二〜三%であるという報告もあります。
わが国でも、一般診療科の外来患者さんの十〜二十%がうつ病であるといいます。
どんな病気も早期治療ににこしたことはありません。
そのためには、うつ病との診断、もしくは、うつ病ではないかと疑うことが大事です。
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心の病気
ストレスがきっかけで現実への適応に障害が出る
長年にわたるかたよった生活習慣の集大成、それが成人病です。当然、中高年期に成人病が発症することが多いのです。
最近は、そのプロセスを重視して、生活習慣病というようになりました。
心の病気は、小さな認知や行動のゆがみが集積し、生活習慣化さレスをきっかけに、現実への適応の破綻として発症してくるのです。
環境を調整したり、自分の考えや行動を修正して、これまでなんとか適応してきた。
ところが、中高年期という折り返し点の激しい変化に対応できず、大きくバランスをくずしたのが、中高年を襲う心の病気といえます。
ストレスという言葉を見聞きしない日がないくらい、現代社会の状況にはきびしいものがあります。
特に、ライフサイクルからいっても、中高年の負担は大きい。
これまでのライフスタイルが通用しないような環境の激変、そのための挫折や対象喪失型の心の病気が増えています。
単なる部分修理では対応できません。心とからだになにが起こっているのか、社会生活や家庭での人間関係のあり方はこれでよいのかを考えましょう。
心の病気は忌むべきものなのか。
人生の前半を見直し、後半を展望するよい機会と思って、中高年の心の病気をとらえましょう。
症状チェック
ストレスを適切に処理できないと、心身にストレス反応が出たり、行動に異常が現れます。
ストレス状態が持続していると きにみられやすい心身の症状のチェックリストを下に示します。
ストレスによる症状チェックリスト
頸がスッキリしなかったり、重たい感じがする
目が疲れやすかったり、まぶたがピクビクする
動惇がしたり、胸苦しくなったりする
食欲がわかず、食事がおいしくなくなる。逆に食べずにいられなくなる
吐き気がしたり、下痢や便秘をしやすくなる
肩がこったり、腰がだるい(痛い)手足が冷たくなったり、汗が出やすくなる
皮膚が荒れたり、かゆくなったり、かぶれやすくなる
かぜをひきやすくなる(治りにくくなる)
日中眠くなったり、夜寝つきがわるく、目覚めがわるい
しごとに意欲がわかず、根気がなくなる、能率が落ちる
趣味やスポーツをして楽しむ気持ちが起こらなくなる
人に会うのがおっくうになる
気が散って、注意の集中ができなくなる
ささいなことに腹が立ったり、イライラするようになる
持病が悪化する
「新版心身医学 末松弘行編」朝倉書店より。
心の病気では、このような症状が複数、同時に起こることが多いのです。
中高年の心の病気を、神経症、うつ病、心身症、行動の障害に分けて解説していきます。
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