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胃・十二指腸潰瘍の治療
食事療法、薬物療法と内科的治療がメイン
胃・十二指腸潰瘍の治療の目的は、症状の改善、治癒の促進、再発の防止にあります。
前二者は比較的容易ですが、再発防止は、最新の治療を行っても、かなり困難なものです。
胃・十二指腸潰瘍の治療は、合併症のない限り内科的治療が基本であり、それで十分とされています。
内科的治療は安静、食事療法、薬物療法からなります。
内科的治療
まず第一に、肉体的にも精神的にも、安静をはかることがたいせつです。
肉体的ストレス(過労)、精神的ストレスが、胃・十二指腸潰瘍の誘因となるからです。
イライラしないで、規則的な生活を送り、休日には十分に休むようにしましょう。
これは容易なようでなかなか難しいことで、重症胃・十二指腸潰瘍あるいは症状が強い場合は、入院治療がすすめられます。
実際、入院治療と外来通院治療とを比較すると、入院治療のほうが潰瘍の治癒速度が速くなります。
また、肉体的ストレスの対処は比較的容易ですが、精神的ストレスの原因は複雑なことが多く、心身医学的アプローチが必要なこともあります。
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胃・十二指腸潰瘍の検査
胃X線検査
バリウムを飲んで検査します。組織欠損部(潰瘍部)にバリウムがたまり、潰瘍の形態を表す陰影(ニッシェ)を認めます。
その他、間接所見として胃・十二指腸の変形、拡張不良などを認めます。
内視鏡検査
急性期の潰瘍の多くは打ち抜き状で、円形ないし卵円形で、周囲粘膜との境界は明瞭です。
潰瘍底は白色、淡黄色の厚苔でおおわれて、ときには凝血、露出血管がみられます。
内視鏡の所見によって潰瘍の経過を、活動期、治癒期、療痕期に分類します。
内視鏡検査の利点は、潰瘍の部位、程度、病期診断が確実で、出血などの合併症がある場合にはただちに処置し、治療が行えることです。
また、組織検査が可能で、潰瘍と胃がんとの鑑別が可能です。
さらに、潰瘍の検査で潰瘍以外の微小病変を発見することがあります。
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胃・十二指腸潰瘍
食事時間と関係深い
胃・十二指腸潰瘍では、つぎのような症状がみられます。
疼痛
反復的な鈍痛で、上腹部痛、とくに心駕部痛(みぞおちの部分の痛み)が多くみられます。
痺痛は食事との時間的関係が密接で、胃潰瘍では食事の直後、または約一時間後から、胃のなかに食物がいいます。
十二指腸潰瘍では空腹時、つまり食事のすぐ前や夜間に痛むことが特徴的で、このとき、少量の牛乳や食物を摂ると、痛みがやわらぎます。
これは空腹時痛といい胃潰瘍でもみられます。
しかし、食事や空腹などと無関係に痛んだり、まったく痛みを感じないこともあります。
もちろん潰瘍が進行すれば、痛みはひどくなることが多くなります。
吐き気、嘔吐
嘔吐は通常食後一〜四時間で出現し、多くは吐き気、食欲不振、腹部膨満感を伴います。
とくに十二指腸潰瘍では、十二指腸の狭窄がある場合、嘔吐がひどくなります。
吐物はほとんどが食べたものや胃液ですが、潰瘍から出血がある場合、血液が混じることもあります。
食欲不振
胃・十二指腸潰瘍では、食物を摂ると、空腹時痛や胃部不快感が軽くなるので、通常食欲は正常もしくは増します。
しかし、痺痛、吐き気、腹部膨満感の強いときには、食欲は低下します。
圧痛
圧痛とは手で軽く圧迫したり、押したりしたときに感じる痛みで、胃・十二指腸潰瘍では、上腹部にみられることがあります。
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胃・十二指腸潰瘍の予防
胃・十二指腸潰瘍の再発を予防するには、精神的ストレスや肉体的ストレス(過労)を避けることが必要です。
そのためには、規則正しい生活を心がけ、適度の運動や趣味で気分転換をはかり、十分な睡眠時間(八時間程度)をとるようにしましょう。
喫煙や過度の飲酒は、潰瘍の再発を促進します。さらに大きな再発因子として、消炎鎮痛剤の入ったかぜ薬がありますので、かぜ薬にも注意が必要です。
食べ物は、とくに制限する必要はありませんが、腹八分目を心がけ、コーヒーや刺激物などの摂りすぎはやめましょう。
また、再発防止のために、医師の指示に従って薬を正しく服用しましょう。
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胃・十二指腸潰瘍の治療:食事療法
刺激のある食品を避け、消化のいい食品を
硬い肉、繊維の多い野菜などの歯ざわりが硬いと感じるもの(物理的刺激)、アルコール飲料、コーヒー・紅茶などのカフェイン含有飲料、コーラ・ソーダ水など炭酸飲料、香辛料、セロリ・にら・にんにくなどの芳香の強い野菜、レモン・夏みかんなどの酸味の強い果物(化学的刺激)、70℃以上の熱いものや、10℃以下の冷たいもの(温熱刺激)は避けるようにしましょう。
消化のよい食品を選びましょう。
一般に、消化のよいものは、胃内停滞時間が短く、胃粘膜への刺激が少なくなります。食事は規則正しく摂りましょう。
一日三食を決まった時間に適量摂りましょう。間食や就寝前の食事は胃酸分泌を促進させるのでやめましょう。
食事はゆっくりと、よくかんで、楽しく摂りましょう。潰瘍の修復のためには、栄養を十分に摂る必要がありますが、食事の量を増やすと、胃に負担をかけ、胃液の分泌が増えます。
栄養のバランスを考えて、食事の質をよくするようにして、量は増やさないようにしましょう。
修復にはたんぱく質が必要なので、たんばく質を多く含む食事を摂りましょ う。
アルコールは控えてください。食事が終わっても、胃は活動していますから、三十分くらいはゆっくり休みましょう。
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胃・十二指腸潰瘍の原因
胃・十二指腸潰瘍は、胃酸とペプシンによって自分の胃・十二指腸粘膜を消化し、ただれたり、くずれたりした状態をいいます。
ただし、これは潰瘍形成の最終段階であり、胃・十二指腸潰瘍の撮因が、胃酸とペプシンだけというわけではありません。
というのは、胃酸とペプシンは胃液の成分で、胃・十二指腸潰瘍のない人にも普通に存在するからです。
なお、胃酸の働きによって、ペプシンの前段階のペプシノーゲンが活性化されてペプシンに変えられます。ペプシンの働きは、たんばく質を分解することです。
胃・十二指腸潰瘍の原因については、以前からいろいろな説がありますが、現在では、ひとつの原因によって起こるのではなく、複数の原因がからみ合って起こるものと考えられています。
複数の原因は、攻撃因子(ペプシン、胃酸、アルコール、たばこ、食物、胆汁、消炎鎮痛剤、ヘリコ バクター・ピロリ菌、ストレスなど)と、防御因子(粘膜の抵抗性、粘膜の血流、粘液など)の二つに分けて考えられています。
この攻撃因子と防御因子は、通常では防御因子が優位ですが、攻撃因子が優位になった場合に、胃・十二指腸潰瘍ができるという考えです。
胃・十二指腸潰瘍の発症要因
胃・十二指腸潰瘍患者の血縁者に、同じ潰瘍患者が多いという報告や、二卵性双生児よりも一卵性双生児に、冒・十二指腸潰瘍発症の一致率が高いという報告から、遺伝的要因も考えられています。
つまり、遺伝的要因に環境因子が作用して発症する多因子性遺伝疾患と考えられています。
また、よく胃・十二指腸潰瘍は、体質にもよるものといわれますが、どういう人が、どういうときに潰瘍になるかということに関して定説はありません。
一般的には、つぎに述べるリスクファクターをより多く持つ人が、潰瘍になりやすいと考えられます。
胃酸過多、喫煙、酒も危険因子
胃酸だけでは潰瘍にはなりませんが、胃酸過多の人は注意が必要です。
ゾリンジャー・エリソン症候群という膵臓にできる腫瘍がありますが、これは胃酸の分泌を促進するガストリンを産生する腫瘍で、ガストリノーマともいわれます。
これには難治性の胃・十二指腸潰瘍が発生し、合併症も効率にみられます。
喫煙・過度の飲酒
いずれも胃粘膜の血流を障害し、またアルコールは直接、胃粘膜を障害します。
不規則な食事時間・食生活
にんにく、コーヒー、強烈な香辛料、刺激性のし好品は、胃酸分泌を促進します。炭酸飲料もよくありません。
また、食事時間が不規則になるのもよくありません。
ストレス
ストレスは精神的なものと肉体的なものに分けられますが、それぞれ胃・十二指腸潰瘍の発生に密接な関係があります。
精神的なものにはしごと、家庭、人間関係の悩みによるストレスなどがありますが、精神的ストレスそのものだけでなく、それによるアルコールやたばこの量の増加、睡眠不足なども二次的に影響を及ぼします。
肉体的なものとしては過労、手術、外傷、熱傷、脳血管障害などによるストレスがあります。
睡眠不足
精神的にも肉体的にも健康上、好ましくありません。
他疾患の合併
肝硬変、肺機能障害、中枢神経系障害、心疾患、尿毒症などでは、潰瘍の合併が多くみられます。
薬剤
胃・十二指腸潰瘍の原因・誘因となる薬剤でもっとも多いのは、非ステロイド系消炎鎮痛剤(痛み止め、解熱剤)です。
この多くは内服薬によるものですが、坐薬によるものもあります。
慢性関節リウマチをはじめとする膠原病、脳血管疾患、心疾患の治療あるいは予防のために、長期間服用する場合は注意が必要です。
他の原因薬剤として総合感冒剤、ステロイド剤、抗生物質、抗がん剤などがあります。
胃・十二指腸潰瘍の既往
胃・十二指腸潰瘍はとても再発しやすいので、過去に胃・十二指腸潰瘍になったことのある人は、より注意が必要です。
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胃・十二指腸潰瘍の合併症
吐血、下血その他の重大な合併症もある
合併症
胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、重い合併症(余病)を起こすことがあります。
出血
潰瘍からの出血は、吐血(血を吐いたり、吐いたものに血が混じること)および下血(優に血が混じったり、便がコールタールのように黒くなること)として現れます。
血液は、胃酸にさらされると、ヘモグロビンが塩酸へマチンとなって黒色調となり、胃液や食物などに混じると、コーヒー残漆(コーヒーの残りかす)様になります。
下血がコールタールのように黒くなるのも同じ理由です。
下血の場合、五十ミリリットルの少量出血でも、黒色便(タール便)となります。
吐血は胃潰瘍に多く、下血は胃潰瘍、十二指腸潰瘍ともにみられます。
出血が少量でも、長い間続いて起こると貧血になり、顔色がわるくなったり、息切れ、動惇、めまい、ふらつきなどがみられることもあります。
大量に出血すると、脈拍が多くなり、血圧が下がり、意識を失ったりすることがあります。
これをショック状態といい、緊急治療が必要となります。
胃・十二指腸潰瘍から出血したとき、多くは心駕部痛などを伴いますが、まったく症状がなく、突発的に出血することもあります。
胃・十二指腸潰瘍
潰瘍がじょじょに深くなり、冒あるいは十二指腸壁に穴があくことを穿孔といいます。
穿孔を起こすと、冒・十二指腸の内容物(胃液、腸液、胆汁、食物など)が、腹腔内に漏れて腹膜炎を起こします。
穿孔の頻度は胃潰瘍で五〜十三%、十二指腸潰瘍で八〜二十一%で、十二指腸潰瘍の穿孔率は胃潰瘍の約二倍となっています。
穿孔を起こすと、突発的に上腹部の激痛が出現し、疹痛は腹部全体、右肩や背中に広がります。
腹部は板のように硬くなり、顔面は蒼白となって、苦痛にゆがみ、脈拍は弱くなります。
しかし、高齢者の場合は、自他覚症状が乏しいこともあります。
狭窄
潰瘍の療痕(ひきつれ)やむくみのために、胃・十二指腸の内腔が狭くなり、通過がわるくなることをいいます。
狭窄の頻度は胃潰瘍で二・三%、十二指腸潰瘍で十三・九%で、十二指腸潰瘍の狭窄率は胃潰瘍の約六倍となっています。
狭窄を起こすと、吐き気、嘔吐、腹部膨満感がみられ、吐くことによって腹部膨満感は楽になります。
しかしさらに悪化すると、食物がまったく通過しなくなり、食事が摂れなくなり、体重減少、全身衰弱も出現します。
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