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肥満症の治療:外科療法
体重は十分に減少再発は他より少ない
重症の肥満症で、内科的治療法に抵抗性であるもの、または再発をくり返す例で行われる治寮法です。
開腹下という大きな侵襲が伴うものですが、必要にして十分な体重減少が得られ、一度減少した体重が再度増加するという再発が、他の治療法に比べて著しく少ないのが特徴です。
手術は肥満度が百%を超えるものなどのほかに、これらの体重に至る以前でも、三年以上にわたって内科的治療に対して抵抗性であったものや、再発をくり返すもの、その他、高度肥満のため、合併症とか障害が発生して重症化している場合にも、この治療法が行われることがあります。
手術法には、(1)胃縮小術、(2)消化吸収面積減少術などがありますが、現在では、合併症がより少ない前者の方法で行われています。
この胃縮小術にもいくつかの方法が考案されていますが、わが国では胃の小雪側に沿って、縦に胃内腔を遮断して、その結果できた約三十ミリリットルの胃嚢の排出口の周囲に、円周五センチのバンドを巻きつけ、胃縮小効果を期待する方法(垂直遮断冒形成術)がもっとも多く行われています。
カテゴリー:肥満症
肥満症の治療:行動療法
減量してその状態を長期にわたって維持
減量とその状態を長期にわたって維持していくことを目的とする治療法です。
この治療法が開発されて、肥満症治療の成績が向上したことはたしかですが、まだまだ改善率は低く、これからもわが国により通した新たな技法の開発と改良が必要と思われます。
この療法の方法には、
(1)肥満の原因となる問題行動を分析する、
(2)過食を助長するような刺激因子を明らかにし、これを矯正する、
(3)過食刺激に対する患者の反応および行動様式を明らかにして、これを矯正する、
(4)過食行動そのものの矯正をする、
などがあります。
実際には、この治療を望む患者さんが、この治療法で効果が得られる患者であるか、あるいは他の肥満症治療の行動的アプローチ治療法がより適している患者さんかを選別したうえで、十分な治療への動機がある者かどうかを考慮する必要があります。
患者さんは数名ずつのグループとして、毎週一回決まった曜日に約一時間ずつ、四か月〜半年間の治療期間を設定します。
具体的な行動項目は、(1)食事回数、時刻、場所などを限定する、(2)間食を禁止する、(3)食物を身近なところに置かない、(4)食事をするときは食事に専念させる(ながら食いなどをやめさせる)、(5)食事に要する時間を設定する(大食い肥満者では一般に食べる速度が速すぎる)などです。
以上のことなどをチェックポイントとして行いますが、こうしてせっかく得られたよい習慣、行動も、いつの間にか時間の経過とともに逆戻りすることがないよう、家族や友人などの身近な人たちの忠告や励ましがより望まれます。
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肥満症の治療:食事療法
食事療法は、運動療法と共に大切なもので、両者がうまくかみ合わないと、治療効果が期待できません。
食事療法だけでは、一〜二か月で体重減少は止まってしまいます。これを適応といいます。
最終的には標準体重になることを目標に、開始後数か月の間に三〜四キログラム減量し、その後は運動療法も強化し、一か月間で一〜二キログラム減量していけるように心がけましょう。
健康に障害を与えないで減量するためには、次の(1)〜(3)の事項に留意することがたいせつです。
(1)適切な摂取エネルギーの決定、すなわち標準体重×二十〜二十五キロカロリー/日
(2)適切な栄養素の配分=たんぱく質(標準体重×一・〇〜一・二グラム/日)、糖質(八十〜百グラム/日)、脂質(二十グラム/日)、必須脂肪酸、脂溶性ビタミン (A、D、E、K)および他のビタミン類、ミネラル
(3)食習慣を改善する 具体的には男性で一日千六百キロカロリー、女性で千四百キロカロリーくらいとし、三大栄養素をバランスよく摂るようにくふうします。
減量を目的とするためには、たんばく質を少し多めに、脂肪を控えたメニューとしますが、一般的には糖質六十%、たんばく質二十五%、脂肪十五%くらいが適当と思われます。
たんぱく質は、動物性たんぱくを五十%は摂るようにしましょう。
ほかにビタミンA、B、C、D、カルシウム、鉄分が不足しないよう気をつけましょう。
果物にはビタミンCが多いからといっても、糖質も多いので、食べすぎないように注意しましょう。
アルコールは一ミリリットル七キロカロリーもあり、エネルギー含有量も思ったより多いので、アルコール摂取が多くなると、他の栄養素が摂りにくくなり、栄養素の摂取バランスを乱す原因にもなります。できるだけ憤しむ必要があります。
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肥満症の予防
食べすぎにならないことと運動不足にならないこと
肥満には、遺伝的な因子の関与も大きいといわれていますが、環境因子をいかに整えるかが重要な意味を持っています。
肥満とは、脂肪が体組織に過剰に蓄積した状態をいいます。
このことから、脂肪組織をいかに減らすかという点で、食べすぎないことと運動不足にならないことがもっともたいせつだと思われます。
ある調査では、肥満の人が必ずしも大食いというわけではなく、かえって摂取エネルギーは少ないか、同じぐらいしか食べていないことが多いといわれています。
運動不足からくる摂取エネルギーと消費エネルギーのアンバランスのために、肥満をきたしたと考えられるケースが多く、日常生活のなかで安易に自動車を使ったり、エレベーター、エスカレーターなどを使用していないかどうかなど、常に運動不足を助長するような行動をとっていないかどうかチェックしましょう。
また、常に手近な場所に食べものを置いていて、間食などが多いのも肥満を助長します。
あるいは朝食抜きの食事スタイルや、寝る直前に夜食を食べるのも、肥満になる大きな要素です。
肥満解消法
余分なカロリーを摂取しないために、しごと、運動などに見合った食事をすることと、摂取したカロリーをいかに効率よく消費するかについて考えることがたいせつです。
肥満の人と非肥満者の間では、日常生活面でのエネルギー消費にはとくに大差はないという報告もあるくらいです。
生活のなかの機械化や、交通手段の発達、とくに自家用車の普及などで歩く機会が少なくなり、それに加えて、小さい頃からの学習塾通いなどのため、からだを動かすことが、めっきり減少してきたことが、肥満に大きな影響をもたらしていると考えられます。
一日を通じて、積極的にからだを動かすくふうが、肥満の予防と解消にとって重要であると思われます。
やたらに間食をしないように、手近なところにおやつなどを置かないようにしましょう。
一日三食をきちんと食べましょう。
ドカ食いとかムラ食いのように、一度に多量に食べる食べ方をすると太るという報告があります。
夕食を多量に食べる食生活はいけません。
とくに、一日のエネルギー摂取量の半分を夜に食べるという食生活では、夜間はエネルギーの消化吸収が昼間よりよくなるので、エネルギーが多量に蓄積されてしまいます。
家庭生活、社会生活を問わず、エネルギーの消費が少なくてすむ構造になってきています。
このため、成人でのエネルギー摂取量は、数十年間、ほとんど変化していないのにもかかわらず、肥満者は増加しています。
カテゴリー:肥満症
肥満はなぜこわいのか
動脈硬化性疾患や糖尿病のほか多種の会併症に直結
肥満症のこわいところは、合併症が非常に多岐にわたり、それによる健康障害を起こすということです。
とくに肥満に伴う高血圧、高脂血症、高インスリン血症などから発症してくる冠動脈疾患、脳血管障害などの動脈硬化性疾患は、日本人の死因の約四割を占めており、肥満が苦痛を伴わないからといって、軽く考えないようにしていただきたいのです。
肥満の程度と、その程度の上昇と合併症の増加については、アメリカや日本でも調査されています。
日本では肥満度プラス三十%を境として高血圧、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞が増加するとの報告があります。
とくに糖尿病は、肥満度プラス二十五%で正常者の平均三〜四倍、プラス三十五%以上では五倍以上との報告もあります。
肥満に伴うおもな疾患
糖尿病
肥満というだけで発症するとはいえませんが、糖尿病を発症する前の最高体重でいうと、平均肥満度プラス二十八・八%、女性ではプラス三十・九%との報告もあります。
BMIでいうと二十六以上の人が五十歳代を中心に高率に認められ、糖尿病の家族歴のある人では、三十歳代がもっとも高率だといわれています。
また、肥満とインスリン非依存型糖尿病との関係については、まだ不明なことも多いのですが、肥満者の死因でみると糖尿病がもっとも死亡率が高く、正常者の約四倍になっていることからも、いかに肥満に対し、予防と治療がたいせつかがわかると思います。
高脂血症
冠動脈疾患の発症には、高脂血症、肥満、インスリン抵抗性、高血圧などが関与し、体重と心血管疾患による死亡率は、正の相関を示すといわれていましたが、最近ではむしろ肥満度よりも、脂肪の体内分布状態が、より合併症の発症に関係が深いことがわかってきています。
高脂血症は血清脂質のうち、とくに総コレステロールと中性脂肪が増加したもので、これに加えてHDLコレステロールの低下したものは、動脈硬化症を増悪させるといわれており、この状態はとくに、成人肥満者で顕著です。
脂質からみる動脈硬化指数は成人、小児を問わず、いずれの肥満でも肥満度の増加とともに増大することからも、脂質代謝を改善させることによって、動脈硬化を防がなくてはなりません。
高尿酸血症
この頻度は中高年になるほど増加し、血清尿酸値はBMIと相関するといわれています。
とくに肥満者では正常者群に比べ、BMI二十六・五以上のものでは有意な上昇が認められています。
高尿酸血症は、冠動脈疾患の危険因子としても重要であり、また痛風の発症にもつながり、これらのことからも改善治療がたいせつです。
肥満度が増大すると脳卒中頻度も増加
高血圧、心疾患、脳血管障害
高血圧症患者に肥満者が多く、また肥満者が高血圧症を合併しやすいことは、よく知られています。
肥満者では正常者に比べ、高血圧の頻度は二〜三倍あるといわれています。
肥満者が高血圧を発症するしくみは、必ずしも明らかではありませんが、肥満者が減量するだけで、血圧が下降することも知られており、肥満と高血圧の間には、深い関係があると考えられています。
このほか狭心症、心筋梗塞、心不全などの心臓病も伴いやすく、肥満そのもののほかに、肥満者では高血圧、糖・脂質・尿酸代謝異常などの動脈硬化の危険因子を伴うため、心疾患を悪化させる可能性が増大します。
脳血管障害については、民族や地域差もあり、障害血管の部位によっても、危険因子の関連性が異なるなどの点から、一定の見解は得られていませんが、脳動脈硬化、脳梗塞の合併頻度は、非肥満群に比べて肥満群が高いという報告があります。
肥満度が増大するにしたがって脳卒中の発症頻度は増加しており、とくに若年者ほどその傾向が強いこともわかっています。
呼吸器疾患
肥満によって諸臓器やその周辺組織への脂肪沈着が増大しますが、そのひとつとして呼吸運動障害が生じます。
体重増加によって代謝が元進し、酸素の消費量や炭酸ガスの産生量が増加する一方で、肥満によって呼吸筋の動きが低下しているため、ガス交換障害が生じ、動怪、息切れが生じるのです。
このほか、肥満によって、上気道径が相対的に縮小するため、睡眠時無呼吸症候群、とくにそのなかでも閉塞型(OSA)が合併しやすくなります。
この一部の患者では、覚醒時の動脈血中の炭酸ガス分庄が上昇します。
この状態の重症化したものがピックウィック症候群と呼ばれるものです。
OSAでは、上気道抵抗の増大に加えて、上気道径の相対的縮小を伴うため、上気道抵抗はさらに上昇し、この結果閉塞型無呼吸をくり返します。
この無呼吸に伴う低酸素血症と、無呼吸終了時に出現する脳波上の覚醒が、昼時間の傾眠、覚醒時の頭痛、精神障害、高血圧の原因と考えられています。
OSAの基本的な治療は減量ですが、減量が困難な場合は、経鼻持続陽庄呼吸療法が、第一選択の治療法となります。
脂肪肝や胆石骨、関節にも異常
このほか、肥満、栄養過剰からインスリンの過剰分泌をきたし、肝臓での脂肪合成が亢進して脂肪肝を生じさせます。
胆石症は最近増加傾向にありますが、コレステロールを主成分とした結石は、コレステロール過飽和状態の胆汁から産生され、胆のう内結石の原因となります。
肥満は、骨、関節にも異常を生じさせます。脂肪組織が過剰となり、骨、関節組織に負担をかけるためです。
その代表的な疾患は、変形性膝関節症と呼ばれるものです。
この疾患は、男性に比べて女性が約三倍も多いのは、女性のはうが骨格が細く、筋力が弱いために、関節そのものに大きな負担がかかってくるためだといわれています。
女性の肥満傾向で子宮がん、乳がんも
がんは栄養過多になると発症してくることが、マウスや牛などの動物実験で認められています。
人でも栄養過多や肥満者で乳がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がんなどの梶患率が高くなっています。
アメリカの統計でも、子宮体がんの発生が体重と密接に関連があるといわれており、そのほかにも胆のうがん、胆管がん、子宮頚がん、腎臓がんでも関連性が認められています。
最近、日本の女性でも、以前は欧米に比べて低率であった子宮体がん、乳がんなどが増加していますが、これは日本女性の肥満傾向とも関連があるのではないでしょうか。
大腸がんの発生率と肥満度との相関は、欧米に比べて以前は少なかったのですが、この増加も食生活の変化とともに、運動不足、肥満の増加が関与していると考えられています。-----
EXTENDED BODY:
カテゴリー:肥満症
過食のメカニズム
肥満のなかでも、日常、圧倒的に多くみられる肥満は、過食、運動不足が原因である原発性肥満です。
現在のところ、過食がなぜ発生するのか、そのメカニズムははっきりと証明されていませんが、つぎのような説がとなえられています。
(1)視床下部にある満腹中枢で満腹感を感じる血糖値のポイントが、正常の人に比べて上昇している場合。
(2)インスリンの分泌過剰。インスリンには、空腹あるいは摂食中枢を刺激して、摂食を増加させる作用があるためと考えられます。
(3)摂食を抑制するホルモンの乱れ。脳内アミン機構、とくにセロトニン系の乱れは、過食を促進させることが考えられます。
(4)ストレスからくる過食。気晴らしに、手あたりしだい食べることで、ストレスを解消したり精神的空自を満たそうとする場合。
このほかにも家庭、経済、文化的な要因、食習慣、精神的因子、運動不足などの諸因子が複雑にからみ合って、肥満が発症するものと思われます。
このようなことからも、肥満の成因は、環境が七十%を左右し、遺伝は三十%程度と考えられています。
たとえば大柄な親に大柄の子どもや、生まれつき太りやすい人と、食べるわりには太らない人がいるなどは、よく見受けられます。
遺伝子の同じ一卵性双生児における肥満の一致率は、二卵性双生児よりも高いともいわれています。
カテゴリー:肥満症
肥満症
多くは過食と運動不足からときには生命にかかわる合併症
肥満とは、からだに脂肪組織が過剰に蓄積した状態です。
肥満の程度を判定する方法には、体脂肪量とよく相関し、国際的にも有用とされているBMI(体重kgを身長mの二乗で割った値。)がよく用いられます。
肥満と判定されたもののうち、肥満に起因する合併症を有するか、減量しなければその発症が予測されるものを肥満症といいます。
合併症には糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、高尿酸血症などがあり、放置しておくと病状の進行によっては生命までおびやかされることになります。
肥満と違って、肥満症は病気であるということを理解する必要があります。
体重が標準体重より二十%以上多いとき、肥満と判定されます。
肥満を診断するためには、脂肪組織量を正確に測定する必要があり、従来、水中体動法、体内水分量測定法、体内カリウム測定法、皮下脂肪厚の測定、インピーダンス法などが用いられてきましたが、いずれも繁雑であり、正確さの面からも問題があるため、一般的には身長と体重から判定されます。
標準体重または理想体重に比べ、自分の体重がどの程度であるのかを肥満度で評価します。
肥満度(%)は、「(実測体重マイナス標準体重)÷標準体重×百」で算出します。
この標準体重を求めるとき、これまでは「(身長−100)×0.9=標準体重kg」を用いることが多かったのですが、
最近では、先に記したBMIを用いて、BMIのどの値に属する人が呼吸器、循環器、上部消化管疾患、高血圧、腎疾患、肝機能障害、高尿酸血症、耐糖能異常、貧血などの有病率がもっとも少ないかを検討した結果、
男性で22.2、女性では21.9という結果が得られ、男女とも、このBMI22を使用して標準体重を求めることが多くなってきました。
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