糖尿病の運動療法
食事療法とともに重要な治療法で、つぎのような効果があります。
(1)ブドウ糖をエネルギー源として利用するため、血糖値が下降する。
(2)インスリンの効果がよくなる。
(3)体脂肪が減少し、肥満が改善される。
(4)脂質代謝が改善され、中性脂肪が低下して、HDLコレステロールが増加する。
(5)血液循環を改善する。
(6)心肺機能が改善する。
(7)ストレスの解消効果がある。
ただし、血糖のコントロールがわるい場合は、運動療法によって糖尿病が、さらに悪化することがあります。
尿中ケトン体が陽性のときや、空腹時血糖が二百五十ミリグラム以上のときは、まず食事療法と薬物療法で、血糖をコントロールしてから運動療法を行わないと、効果がないばかりか、病状や合併症を増悪させ、取り返しのつかなくなることもあります。
運動療法を開始する前には、必ず主治医によメディカル・チェックが必要です。
とくに、高血圧で収縮期血圧が百八十以上あったり、ケトアシドーシスなどの著しい代謝異常のあるもの、眼底出血のおそれのある網膜症の人、中等度以上の腎症、不整脈、狭心症などの循環器系に障害のある人、壊症や、活動性のある感染症を持つ人は、運動を行ってはいけません。
経口血糖降下剤の内服治療を行っている患者さんは、空腹時の運動を避け、食後三十分以上たってから行うのが原則です。
インスリン注射をしている患者さんは、運動をするとき、腕や下肢のように、動きが活発になって血流が増加し、インスリンの吸収が元進する部位に注射すると、低血糖を起こしやすくなります。下腹が適していると思われます。
治療法がなんであっても、低血糖には注意しなければなりません。
低血糖のあとのリバウンド現象で、血糖値を上昇させることになりますが、この急激な血糖の変動は、血管障害を促進させ、合併症を増悪させ、糖尿病そのものを悪化させてしまうからです。
低血糖の予防
低血糖を防ぐためには、空腹のときは運動をしないこと、また運動量が多くなるときや長時間行うときは、運動前にいつもより一〜ニ単位多く食事を摂るとか、運動中にも、時間をおいてパンやジュースなど糖質を主体にしたものを補食してください。
ケトーシス(強い高血糖からケトン体が著明に増加している状態)などの合併症がない限り、使用するインスリンの量を二分の一〜三分の一に減量して使用するなどについても、あらかじめ主治医から指示をもらっておいてください。
食事療法との併用で運動の効果はあがる
実際にはどのような運動を行ったらいいのでしょうか。
いつでも、どこでも一人でできて、運動の強度が容易に調節できる、全身的な有酸素運動という点から、歩くことがよいといわれています。
運動は、食後一〜二時間してから行うのが望ましいとされています。
というのは、この時間帯が食後の血痕の上昇するときにかたり、薬物療法を行っている人が低血糖を起こしにくい点からもよいと思われます。
もちろんこの時間以外でもよいのです。
いつでも時間を見つけて運動することがたいせつです。
運動は、脈拍数の多い・少ないの割合で、その強度を示すことができます。
一般に、強度の割合が約二十%を軽度、四十〜六十%を中等度、八十%以上を強度といいます。
運動療法では、三十〜四十%程度の強度から開始し、しだいに強度を上げていきます。
最大心拍数のめやすは、二百十マイナス年齢です。
運動は過に三日、できれば毎日十五〜四十五分程度行えば、効果が期待できるとされますが、たとえば三十分の散歩で消費されるのは約一単位(八十キロカロリー)にすぎません。
運動だけで消費されるエネルギーは、想像以上に少なく、食事療法とともに行われなければ、効果は少ないということを理解しなければなりません。
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