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本態性高血圧症
高血圧症の大部分を占める本態性高血圧症は、これといって原因の特定できない高血圧症で、遺伝的要素に生活環境因子が加わって発症すると考えられています。
三十歳代から四十歳代にかけて血圧が上がり始め、治療せずに放置すれば脳、心臓、腎臓、眼底などの血管を障害し、脳卒中、心筋梗塞、心不全、眼底出血などを起こしやすくなります。
カテゴリー:高血圧症
高血圧症の合併症
脳卒中や心筋梗塞、狭心症などを防ぐ
高血圧を放置すると、血管に障害を与え、それが脳血管であれば脳卒中を、冠状動脈に起これば狭心症や心筋梗塞、心不全を、腎臓では腎不全や腎梗塞を起こします。
病状がどのくらい進んでいるかを判定するために、脳の場合はCT(コンピュータ断層撮影)やMRIを、心臓の場合は心電図、心臓超音波検査や冠動脈造影を行って診断します。
また、高血圧とともに脳血管障害や冠動脈疾患の危険因子である高コレステロール血症、糖尿病、高尿酸血症の有無も検査します。
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高血圧とうまく付き合う生活習慣とは
塩分は少なく、肥満をなくし適度の酒と禁煙の生活を
食事療法
まず食塩の量を制限することがたいせつです。
日本人の食塩摂取量は、いまでも平均して一日に十二グラム以上ですが、軽症高血圧では一日十グラム以下を、中等症では一日七グラム以下を目標にします。
塩分に慣れた味を変えるのは難しいのですが、香辛料や減塩食品などをじょうずに使ってくふうしましょう。
血中コレステロール値が高い場合は、コレステロールを多く含む食品を制限します。
糖尿病や肥満を合併している患者さんは、総カロリーの制限が必要となります。
減量
肥満の人は、減量するだけで血圧は下がります。
体重を一キログラム減らすと、血圧は1.5mmHgくらい下がるといわれています。
摂取カロリーを制限して標準体重まで落とし、これを維持するように努めましょう。
酒、たばこ
少量のアルコール(日本酒なら一日一合以下)は、血管を拡張させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やし、ストレスを解消して、動脈硬化を少なくするといわれていますが、大量のアルコール(一日二合以上)を長期に飲んでいる人は、血圧も高く脳出血を起こす頻度が増します。
アルコールを減らせば、血圧が下がることは証明されています。
たばこは、直接高血庄の原因に只.苛はなりませんが、血管を障害し、動脈硬化を促進する作用があります。ぜひとも禁煙すべきです。
一日一時間を週三回軽く汗ばむ歩きなど
運動療法
運動しない人は、血圧が上がることが証明されています。
そこで、一日一時間の運動を、週三回以上続けてもらうと、血圧が10mmHg近く下がるといわれています。
運動の種類では、軽く汗ばむ程度の歩行がすすめられます。
水泳やサイクリングも効果がありますが、静かに力むような運動は、血圧が上がるため好ましくありません。
運動の強さとしては、最大強度の半分くらいで十分です。
一分間の脈拍数でいえば、三十歳代で約百二十、四十歳代で約百十五、五十歳代で約百十、六十歳代で約百五、七十歳代で約百程度を目標とするのがよいでしょう。
激しい運動は危険であるばかりか、血管を傷める作用があります。
なお、中等症以上の場合は、運動が制限されることもあるので、専門医とよく相談してください。
ストレス対策
ストレスは、血圧を上昇させます。
過労に注意し、よく睡眠をとり、規則正しい生活を心がけることがたいせつです。
また、寒いときに室外に出るときや夜間トイレに行くときは、血圧が急に上がるので、注意しなければなりません。
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高血圧症の治療
高血圧の治療の目的は、高血圧症による合併症の予防と、臓器障害を防ぐことにあります。
二次性高血圧症は、原因が明らかなので、原因疾患を治療すれば、原則として高血圧は改善しますが、本態性高血圧症では、高血圧の原因が明らかではないので、いまのところ原因の治療はできません。
本態性高血圧症は、遺伝的素因を持った人に、塩分やアルコールの摂りすぎ、肥満、ストレスや運動不足などの生活環境因子が加わって発病します。
したがって高血圧と診断された場合、まず、生活環境因子の改善が必要です。
塩分やアルコールを控え、食べすぎや間食、果物の摂りすぎに注意し、総カロリーを制限して体重を減らします。
過労を避け、睡眠を十分にとり、ストレスを解消するために気分転換や軽い運動を取り入れたりしましょう。
運動療法導入の前に薬で血圧を下げる
軽症の高血圧
食事療法や運動療法で三〜六か月間経過を観察しても、血圧が下がらなければ、薬を使って血圧を下げるべきです。
血圧を適正に下げることによって、脳卒中や心筋梗塞の発症頻度を減らすことができます。
中等以上の高血圧
すぐに薬を使って血圧を下げるべきです。
もちろん食事療法を行い、アルコールを控えめにし、睡眠を十分にとり、ストレスの解消にも努めます。
血圧を下げる前に運動療法を取り入れるのは、危険を伴うので、運動療法は薬で血圧を下げたあとに取り入れるとよいでしょう。
降庄療法は、降庄薬(降圧剤)を内服することによって血圧を下げる治療法をいいます。
降庄薬には、心拍出旦里を減らす薬と、血管拡張剤(血管を広げる薬)があります。
心抽出量を減らす薬には、降庄利尿剤、ベータブロッカー(ベータ受容体遮断薬)があります。
降庄利尿剤は、体内の塩分を尿中に排出して、循環血栄量を減らし、ベータブロッカーは、心収縮力を抑えて、心拍出量を減らします。
血管拡張剤には、ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)、カルシウム括抗剤、アルファブロッカー(アルファ受容体遮断薬)があります。
ACE阻害剤は血管収縮を起こすレニン・アンジオテンシン系を阻害します。
カルシウム括抗剤は、血管を収縮させる血管平滑筋に必要なカルシウムイオンが細胞内へ流入するのをブロックします。
アルファブロッカーは、血管を収縮させる交感神経のアルファ受容体をブロックし、血管を拡張させます。
以上のように、降庄薬の種類はたくさんありますが、その患者さんに通した薬を選んで服用します。
また、一種類の薬で降圧が不十分な場合は、同じ種類の薬を増やすより、他の作用の薬を併用するほうが、副作用も少なく相乗効果もあり好ましいといえます。
血圧を高いまま放置すれば、脳、心臓、腎臓に合併症が起こり、脳卒中、心筋梗塞や腎不全などの重大な病気を招く危険が高くなります。
それを防ぐためには、血圧のコントロールが不可欠です。
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二次性高血圧症
二次性高血圧症は、他に別の病気があり、その症状の一部として、高血圧が二次的に起こってくる場合をいいます。高血圧症全体の十%ほどを占めています。
原則としては、その原因となっている病気を治療すれば、血圧は正常に戻るはずです。
二次性高血圧には、腎性高血圧、内分泌性高血圧、心血管惟高血圧、神経性高血圧などがあります。
腎性高血圧症
腎臓は血圧を上昇させるホルモンを分泌しており、高血圧と関係の深い臓器です。
糸球体腎炎、慢性腎孟腎炎、腎血管性高血圧、糖尿病性腎症、痛風腎などの腎臓の病気がもとで、高血圧症となります。
腎機能障害の軽い症例では、血圧は正常のことが多いのですが、腎機能が中等度以上障害されると、血圧が上がり始めます。
家族歴のない若年者で高血圧が発症し、腹部血管性雑音、血栄レニン活性の上昇や、血中カリウム値が異常に低い場合は、腎血管性高血圧症が疑われます。
腎性高血圧症は、DSA(デジタル減算血管造影)、腎孟造影、腎動脈造影などから診断します。
腎血管性高血圧は、腎動脈に狭窄があるため、PTA(経皮的血管形成術)といって、先端にバルーン(風船)のついたカテーテル(細い管)を大腿の動脈から入れて、狭い部分を広げる治療を行います。
血管の狭窄が取り除かれると、血圧は正常化します。
内分泌性高血圧症
副腎や甲状腺から、ホルモンが異常分泌されるために起こる高血圧症です。
副腎髄質や副腎外にある腫瘍から、カデコラミンが過剰に分泌される褐色細胞腹は、血圧が動揺するのが特徴です。
副腎皮質の腫瘍からアルドステロンが過剰に分泌される原発性アルドステロン症は、しばしば四肢の脱力感を伴い、血清カリウムは低下します。
副腎や脳下垂体の腫瘍によって、血中糖質ステロイドが過剰になるクッシング症候群は、バッファロー型の肥満、多毛、糖尿などが特徴です。
甲状腺機能元進症では、心抽出量の増加によって、上の血圧(収縮期血圧)のみが上がります。
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高血圧症の原因
遺伝的な要素に生活環境が加わって
高血圧症には、本態怪高血圧症と二次性高血庄症があります。
このうち、高血圧症のほとんど(高血圧症全体の九十%)を占めるのが本態性高血庄症で、これは、精密検査をしても血圧を上昇させる原因が認められず、原因が特定できないものをいいます。
この本態性高血圧症は、遺伝的な要素が強く、家族歴では、両親または片親が高血圧という例がほとんどです。
しかし、遺伝的要素だけでは高血圧にはなりません。
遺伝的要素に血圧を上げる生活環境因子が加わって、はじめて高血圧症になります。
血圧を上げる生活環境因子としては、塩分やアルコールの摂りすぎ、肥満やストレスがあります。
塩分を摂ると、血管内に水分を引きつけて血管内の水分自重を増やし、また血管の収縮を増強させる結果、血圧を上昇させます。
地球上の食塩摂取のない地域では、高血圧患者はいなかったそうです。
日本でも、食塩摂取の多い地域では、むかしから高血圧患者の発生率が高いことが知られています。
アルコールも長期にわたって大量二日二合以上)に飲むと、血圧が上がってきます。
肥満すると、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの分泌が増えたり、自律神経の交感神経系が亢進して、血圧を高めます。
ストレスでも血圧は上がります。とくに長期にわたると高血圧になります。
ストレスは交感神経を興奪させ、血圧を上昇させる物質の 分泌を元進させたりして、血圧を上げます。
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高血圧症
睡眠中も血圧が下がらない型は合併症が多く脳卒中の危険も
血圧は高くてもはじめのうちはなんの症状もないのが特徴です。
ほとんどの患者さんは、健康診断などの血圧測定で偶然血圧が高いことに気づきます。
高血圧症患者の七十五%は軽症の高血圧で、大部分の患者さんは無症状です。
中等症の高血圧になるにつれて、少しずつ自覚症状が出てきます。
それは肩こり、頭重感や頭痛などです。
しかし、いずれも高血圧だけに特徴的な症状ではありません。
高血圧が長く続いて重症になり、脳、心臓、腎臓などが障害されると、それに伴う症状が出てきます。
耳鳴り、ふらつきやめまい感、労作時の動悸、息切れなどです。
また、眼底出血で視力障害を起こすこともあります。
高血圧で症状が出てきたら、臓器障害が起こり始めたと考えてよいでしょう。
血液量と血管の狭さの関係 季節、日時、気温などで変動
血圧は、血液の量(循環血漿量や心拍出量)と血管の狭さ(末梢血管抵抗)に左右されます。
循環血望里は、腎臓における水やナトリウムの排泄や再吸収に規定され、心拍出量は心臓の収縮の強さや心拍数に規定され、末梢血管抵抗は動脈、ことに細小動脈の しかん収縮や弛緩に規定されます。
したがって循環血漿量の増加、心拍出量の増加、細小動脈の収縮によって血圧は上がります。
血圧は常に一定ではなく、季節、日、時間によって変動します。
とくに高血圧症の患者さんは、気温の変化で血圧が変動します。
たとえば、秋から冬にかけて血圧が高くなる傾向がありますし、冬に暖かい室内から寒い室外に出たときや、夜にトイレに起きたときなどは血圧が上がります。
日常生活でも、いろいろな動作、運動、精神的ストレス、感情の変化などで血圧は変動します。
血圧値の日内変動リズムは、正常の人でも高血圧症の患者さんでもみられます。
一日の血圧変動は、携帯用の持続血圧測定装置で観察することができます。
血圧は夜間睡眠中は低く、朝目覚めると高くなり、昼間は比較的高めですが、夜間になるとじょじょに下がります。
高血圧症の患者さんの一部には、夜間睡眠中も、血圧が下がらない型があります。
この型の患者さんは、合併症が多く、脳卒中の頻度も高いといわれています。
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