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心筋梗塞
心筋梗塞は、狭窄を起こした冠動脈に血栓が形成されたり、攣縮が起きたりして、冠動脈が完全に閉塞し(つまり)、その動脈が支配している心筋に血液を送ることができなくなり、心筋が壊死に陥る結果、心筋の収縮力を失う重大な疾患です。
多くは突然の胸痛で始まります。
痛みは狭心症より激しく、持続時間は十分〜数時間と長く、左肩から左腕や背中に放散します。
迷走神経緊張状態となり、軽いショック症状がみられます。
全身に冷や汗をかき、顔面は苦痛でゆがみ、蒼白となり、唇や手足の末梢がチアノーゼ (青色症)を呈し、悪心・嘔吐を伴い、便意をもよおすこともあります。
血圧は通常より低くなり、脈拍は弱まって徐脈となり、乱れをしばしば認めます。
これは心臓の機能が急速に低下している症状です。
さらに症状が進むと、ショック状態から瀕死の状態に陥ります。
心筋梗塞はつぎのような合併症を伴うことが多く、予後をわるくします。
心筋梗塞の合併症
不整脈
心筋梗塞では不整脈(脈の乱れ)の合併が多く、ただちに治療しないと、生命にもかかわる場合も多くあります。
心室性期外収縮の頻発から心室頻拍となり、放置すれば心室細動に移行し、心臓の機能は停止してしまいます。
右冠動脈閉塞では、房室ブロックによって徐脈になり、意識消失発作が起こることもあります。
うっ血性心不全
うっ血性心不全の合併も多く、左心室の収縮機能低下によって肺うっ血が認められます。
肺うっ血が進行すると、一見気管支ぜんそくに似た呼吸困難 きざこきゆうや起座呼吸の症状が現れます。
ついで肺水腫になると、泡沫状のピンク色の疾を喀出し、心臓ぜんそくの状態となって、著しい呼吸困難のために瀕死の状態に陥ります。
心原性ショック
左心室心筋の四十%以上が壊死に陥った場合、心臓機能が維持できなくなり、血圧が著しく低下し、尿量が減少し、意識も混濁して、ショックとなります。
心原性ショックとなると、死亡率は高く、これが急性期死亡のおもな原因となっています。
心臓破裂
壊死に陥った心筋の一部がもろくなって、破裂することもあります。
発症後の安静が保てなかったり、血圧の高い例、とくに老人では、発症後、数日ないし二週間くらいで心臓破裂を起こします。
緊急手術が唯一の治療法ですが、救命はたいへん難しい状態です。
カテゴリー:虚血性心疾患
狭心症
心筋の血流が一時的に減少するため、心筋の酸素需要を満たすことができず、胸痛発作を起こしますが、器質的障害を残さずもとに戻るのが狭心症です。
狭心症には労作によって誘発される労作性狭心症と、誘因なしに発作が起こる安静狭心症があります。
労作性狭心症
労作性狭心症は、労作によって心筋の活動量が増して、多くの酸素を必要とするにもかかわらず、冠動脈の狭窄があるため、心筋への血流を増加できない状態をいいます。
たとえば、普通に歩いているときはなんでもないのに、急いで歩くと心筋の酸素消費量が増し、狭心痛が起こります。
狭心痛は、発作的に起こる胸痛です。
胸部中央から左側にかけて、圧迫されるような、締めつけられるような、焼けるような痛みが生じ、左肩から左腕、背中やあごに痛みが放散することもあります。
安静にすれば、狭心痛は普通二〜三分でおさまりますが、発作を止める亜硝酸剤を舌下服用すれば(舌の下に入れて溶かす)、一〜二分でおさまります。
安静狭心症
ほとんど身体的負担がないのに発作を起こす狭心症で、冠動脈の狭窄が進行し、心筋への酸素供給が限界に近い状態か、冠動脈の撃縮によって心筋に虚血を起こす状態と考えられています。
冠動脈の攣縮によって起こる狭心症は、異型狭心症とも呼ばれ、比較的若い人に多いといわれています。
発作は夜間から早朝にかけてほぼ決まった時間帯に起こり、就眠中に、狭心痛のために目を覚ますこともあります。
異型狭心症は、欧米人に比べ日本人に多いといわれています。
狭心症の発作
急性心筋梗塞や突然死することも
労作狭心症から安静狭心症に移行したときに、しだいに胸痛発作の頻度や強さが増したり、持続時間が長くなったり、ニトログリセリンの効きめがわるくなったり、心筋梗塞後に安静狭心症が起こる場合などは、急性心筋梗塞や突然死に進展する可能性が高く、生命にかかわる非常に危険な状態ですので、緊急に循環器専門医のいる病院に入院する必要があります。
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虚血性心疾患の原因
動脈硬化や血栓、閉塞で心臓に必要な血が流れない
血液中の酸素と栄養を心筋(心臓の筋肉)に供給するのが、心臓を取り囲むように走っている冠動脈です。
冠動脈は大動脈の基部より分枝しており、右冠動脈、左冠動脈前下行枝と左冠動脈回旋枝の三本があります。
虚血性心疾患とは、この冠動脈の血流が不足、あるいは途絶えて、心筋の酸素需要を満たすことができない(虚血)ために、心筋の働きが低下することをいいます。
その虚血を起こす最大の原因は、冠動脈硬化です。
冠動脈硬化は、粥状硬化(アテローム硬化)が原因で起こります。
これをごく簡単にいうと、まず、なんらかの原因で血管内膜に小さな傷ができ、そこからコレステロールなどが侵入し、内膜下にたまって、お粥のような性状の粥腫をつくります。この粥腫がふくれて、血管内腔を狭くします。
内膜が破れて粥腫が露出すると、ここに付着した血液が凝固して血栓が形成されます。
この血栓によって血管内腔が狭まって(狭窄)、血流がわるくなったり、血栓が完全に血管をつめてしまうと(閉塞)、そこから先の血流が途絶えてしまいます。
このような状態のもとで発症してくるのが、虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞です。
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虚血性心疾患の危険因子
高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、高脂血症のほか家族歴
虚血性心疾患のほとんどは、動脈硬化を基礎病変として発症します。
冠動脈硬化を促進させるもっとも重要な危険因子としては、高脂血症(血清コレステロール値二百二十�r/dl以上、空腹時中性脂肪百五十�r/dl以上)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の異常低値、高血圧、糖尿病、喫煙などがあげられますが、肥満や痛風を伴った人にも多いようです。
また、虚血性心疾患は、中年以上の男性(男性は女性の三〜五倍罷患しやすい)で、精神的ストレスの多い職業に就いている人に多く、性格的には活動的、攻撃的で、責任感の強い人に多い傾向があります。
家族歴も重要で、家族に虚血性心疾患のいる人は、いない人に比べて罷患頻度が高い傾向にあります。
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狭心症・心筋梗塞の予防
動物性脂肪を減らし太らない食生活を
肥満のある場合は、食べすぎに気をつけ、体重を減らすことがたいせつです。
糖尿病を合併している場合は、一日の総カロリー摂取量を守り、血糖値の正常化に努めます。
通常の場合、摂取総カロリーは標準体重一キロあたり三十キロカロリー程度とします。
標準体重は「(身長マイナス100)×0・9」で算出します。
とくに、高脂血症を合併している場合は、コレステロールの多い食品(鶏卵、魚の卵、内臓、乳製品など)や中性脂肪を増やす食品(炭水化物、果物、菓子類など)の摂りすぎに注意します。
動物性脂肪を減らし、植物性脂肪や不飽和脂肪酸の多い魚を食べるようにしましょう。
高血圧症を合併している場合は、塩分を控えめにし、一日7〜8グラムくらいにします。
し好品
たばこは冠動脈硬化の危険因子中の重要な因子で、狭心症の悪化や心筋梗塞の再発を起こすため、禁煙すべきです。
日本酒一合程度の少旦里のアルコールなら飲んでもかまいませんが、それ以上飲むと、中性脂肪の増加、体重の増加、血圧の上昇などの原因になります。
心臓の程度により適度の運動はいい
運動は血液の循環をよくし、摂取したカロリーを消費して脂肪がたまるのを防ぎ、血中に増えたコレステロールを肝臓に戻す役割をするHDL(善玉コレステロール)を増やします。
運動量は心機能の程度、胸痛や不整脈の有無を考えて制限されることがあります。
トレッドミル負荷試験を受け、自分に合った運動量を知り、それを守ることがたいせつです。
働きすぎず、ストレスを解消するようにし、過労に注意します。寝不足にならないように、規則正しい生活を心がけましょう。
心機能の低下や不整脈のある場合は、ある程度しごとが制限されることもありますが、自分の健康を守るためですから、決してむりをしないでください。
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心筋梗塞の治療
安静で楽な姿勢に
発作が起きたら、まず安静にして楽な姿勢をとります。
安静にしても発作がおさまらないときは、発作を止める特効薬である亜硝酸剤(ニトログリセリンや二トロールなど)が用いられます。
速効性の亜硝酸剤は、舌の下に入れて溶かしますが、最近ではスプレーもあります。
亜硝酸剤によって、冠動脈と全身の血管が拡張し、心筋への血流が増えると同時に、心臓に戻る血液の日亘を減らし、心臓の負担を軽くして発作を止めます。
非発作時の治療は、薬物療法が主体となります。
通常は長時間効果のある徐放性の亜硝酸剤(内服薬や貼付剤)や、降圧剤としても汎用されている血管拡張剤であるカルシウム括抗薬、心臓の働きを抑えて心筋の酸素消費量を減らすベータ遮断薬、冠動脈内血栓を予防する抗血小板薬などが用いられます。
PTCA(経度的冠動脈形成術)
先端にバルーン(風船)のついたカテーテルを、冠動脈造影検査と同じ方法で動脈内に挿入し、しぼんだバルーンを冠動脈の狭窄した部分に通し、加圧してバルーンをふくらませて、狭窄部を押し広げる治療法です。
この治療法は、バイパス手術に比べて患者さんのからだにかかる負担がはるかに軽く、高齢者や手術に耐えられないような、全身状態のわるいケースでも適応することができます、入院期間も非常に短くてすむため、最近急速に普及してきています。
PTCAの成功率は高いのですが、治療後三か月以内に再狭窄を起こす率が三十〜四十%あるため、外来での経過観察がたいせつです。
再狭窄を起こした場合には、再度PTCAを施行すると、再狭窄は起こりにくくなります。
最近では、PTCAと同時に、カテーテルを用いてステント(金属のコイル)を冠動脈狭窄部に挿入し、留置する方法も行われるようになり、再狭窄率の低下に役立っています。
大動脈冠動脈バイパス手術
冠動脈の一枝だけでなく、二〜三枝の重要な枝に狭窄があるような場合、PTCAが適応とならない症例では、手術によって冠動脈の血流改善をはかるのが確実です。
胸壁の内側を縦に走っている内胸動脈、あるいは大腿部の内側を走っている大伏在静脈の一部分を切り取り、それらを用いて、大動脈と冠動脈の狭窄部末梢側をつなぎ、血行再建を行う手術です。
直後死が多いから至急病院に収容
心筋梗塞は発症直後の早期死亡が多いので、できる限り早急に病院に収容しなければなりません。
心臓が停止した場合は、心臓マッサージと人工呼吸をただちに開始しなければなりません。
死亡の約半数は、発症後十二時間以内に起こります。
外来での治療
心筋梗塞の治療は、冠動脈内血栓の生成と拡大の予防、冠動脈の血流改善などを目標に行われます。
発作の直後は絶対安静にし、酸素吸入を開始します。
診断のため、心電図の記録と採血をし、薬物投与のために血管を留置針で確保します。
激しい胸痛に対しては、鎮痛剤のモルヒネを、心電図で心室性不整脈が認められれば、抗不整脈薬を静注します。
そして、冠動脈を拡張させる亜硝酸剤、冠動脈内の血栓形成の進展を防ぐ抗凝固薬の点滴を開始します。
入院後の治療
入院後は、梗塞の拡大、不整脈、心不全やショックの監視と治療が中心となります。
心筋梗塞を発症して六時間以内であれば、血栓溶解薬を静注し、冠動脈内血栓を溶かして血流を再開させることも可能です。
この治療は、時間がたって梗塞が完成してからでは効果が期待できません。
冠動脈検査が早急に施行できる場合、冠動脈の閉塞を確認したのち、閉塞部に直接PTCAを行う施設も増えてきています。
また、冠動脈の入口に引っかけたカテーテルから、直接血栓溶解薬を注入する冠動脈内血栓溶解療法(ICT)が行われることもあります。
心不全を合併している場合は、特殊なスワンガンツカテーテルを用いる場合があります。
これは、カテーテルを大静脈に挿入し、心臓を経て肺動脈に留置するもので、肺動脈圧や心臓からの血液抽出量を頻回に測定して、肺うっ血や心不全の程度を正確に把握し、それらの測定値を参考として利尿剤、強心剤、血管拡張薬などを投与します。
心原性ショックに対しては、大動脈バルーンパンビング法を用いる場合もあります。
これは、先端に大きなバルーン(風船)のついた太いカテーテルを大腿動脈に挿入し、胸部大動脈に留置します。
心臓の拡張期(心室が拡張するとき)に、バルーンをふくらませて冠動脈血流を増加させ、収縮期(心室が収縮するとき)にしぼませて、心臓の機能を補助する方法です。
不整脈の房室ブロックに対しては、人工ペーシング法があります。
これは、電極カテーテルを大静脈を経て心臓(右心室心尖部)に挿入して、体外から電気的刺激を心筋に与えて心臓を動かす方法です。
心臓リハビリ
合併症もなく、順調に回復すれば、発作後五〜八日ほどで、症状も安定します。
安静度をじょじょに軽減し、少しずつ運動量を増やしていきます。
薬も点滴や注射から内服薬に変更されていきます。
食事も発症後一〜三日は絶食としますが、流動食から、少しずつ普通食に戻していきます。
食事内容は、動物性脂肪を少なくし、カロリーは一日二千キロカロリー以下、塩分は七グラム程度とします。
八日目あたりから歩行を許可し、自覚症状、血圧変動や心電図変化のないことを毎回たしかめながら、運動量を増やしていきます。
経過が順調であれば、三〜四週間で退院となります。
家庭では、日常生活に慣れたら、まず散歩を始めます。散歩の距離を少しずつ伸ばしていきます。
この時点で異常がなければ、職場復帰となります。
最初は半日程度の短縮勤務から始め、勤務時間をじょじょに延ばして、通常の勤務に戻していきます。
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心筋梗塞の検査
労作時に狭心痛があれば、症状からほぼ診断はつきます。
発作時には心電図に異常所見が現れますが、通常、病院を訪れて診察を受けるときには、発作がおさまっているため、心電図に異常が現れないことが多いのです。
そこで、携帯用の小型心電計をからだに装着して、二十四時間の心電図を記録するホルター心電図検査を用いれば、発作時の異常所見を記銀することができます。
また、負荷心電図やトレッドミル負荷検査といって階段を昇降したり、動くベルトの上を早足で歩いたり、心臓に負担をかけて、心電図異常の有無を検査します。
明らかに心電図異常を示し、狭心症が疑われる場合は、短期間入院して、冠動脈造影検査を受ける必要があります。
冠動脈造影検査は、カテーテル(細い管)を足の付け根の大腿動脈や、ひじの上腕動脈から挿入し、心臓の出口の大動脈基部にある冠動脈の入口部にカテーテルの先を引っかけ、造影剤をカテーテル内に注入して冠動脈の状態をレントゲン撮影する検査です。
冠動脈に狭窄があれば、狭窄の部位や程度が詳細に診断でき、その後の治療方針を正確に決定することができます。
心電図は、心筋梗塞の診断にもっとも有力な検査法です。
心電図には急性期の心筋障害にしたがって、典型的な異常所見が現れます。
また、経過観察のうえで不整脈、心筋梗塞の拡大、再梗塞などを知るためにも、くり返して記録する必要があります。
血液検査も、心筋組織崩壊の指標として診断上重要です。
壊死した心筋細胞から放出されてくる心筋逸脱酵素を測定し、その酵素が増えているかを調べます。
心エコー図検査では、心室壁の運動異常、左心室機能や弁の動きなどを観察します。
また、放射性同位元素による心筋シンチグラム法を用いて、心筋梗塞の範囲を知ることもできます。
最近では、治療を兼ねて発作直後に冠動脈造影検査が行われるようになり、冠動脈閉塞部の同定や予後判定なども正確に診断されるようになっています。
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虚血性心疾患の発作
労作時に起きるもの 安静時に起きるもの
労作性狭心症
おもに労作時に発作が起こります。
すなわち、心筋の酸素需要を増すような動作、たとえば、階段や坂道を昇るとき、走ったとき、食べすぎ、飲酒、精神的ストレス、入浴時、排便時、暖かいところから寒いところに出たときなどに誘発されます。
安静狭心症
安静にしていて心筋の酸素需要を増す誘因がないにもかかわらず、狭心症発作を起こす状態です。
心筋梗塞に移行する不安定狭心症も含まれます。
早朝に狭心痛で覚醒する異型狭心症は、冠動脈の攣縮(血管が連続的にけいれんして内腔が狭まる)が原因と考えられています。
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虚血性心疾患
虚血性心疾患の症状
虚血性心疾患では、胸痛を訴えるものが多くあります。
胸痛は、冠動脈(冠状動脈)の血流不足、あるいは血流が途絶えることによって生じる心筋の虚血のために起こりますが、普通は発作的に起こるので、狭心痛ともいわれます。
胸痛には胸部の不快感、胸の重苦しさ、締めつけるようなといった症状から、焼けるような激しい痛みまで、いろいろな種類があります。
胸痛を起こすおもな疾患には、心臓疾患(狭心症、心筋梗塞、心膜炎など)、大動脈疾患(解離性大動脈痛、大動脈痛など)、呼吸器疾患(気胸、胸膜や肺疾患など)、消化器疾患(食道炎、胃・十二指腸潰瘍、胆のう疾患、膵臓疾患など)、胸壁の骨、筋肉、神経などの疾患や不安神経症などの心因性の疾患などがあります。
また、胸痛があるからといって、必ずしも疾患があるとは限らないこともあります。
心筋梗塞の胸痛は狭心症より長く続く
狭心痛を感じる部位は、前胸部、とくに胸骨(胸の中央に触れる縦に細長い骨) の裏側が多く、ときに咽喉部(のど)、前頚部、下顎ぶ部(あご)、左肩から左腕、背中などに痛みが放散することがあります。
狭心痛の痛み方は、圧迫感(重いものを胸にのせられたような)、絞拇感(締めつけるような)、灼ねつ熱感(火ばしを突っ込まれたような)などとよく表現されます。
狭心痛の持続時間は、狭心症では二〜三分から十分間くらいですが、心筋梗塞では狭心症より長く十分以上で、ときに二〜三時間から数時間以上持続することがあります。
労作時に起こる狭心症は、労作を中止すると、痛みは消失しますが、睡眠中や安静時に起こる狭心症では、二〜三分から三十分近く持続することもあります。
いずれのタイプの狭心症も亜硝酸剤(ニトログリセリンや二トロールなど)の舌下投与が有効ですが、心筋梗塞では、これらの舌下錠も効果はありません。
胸痛に伴う症状には、狭心症では動惇程度ですが、心筋梗塞では顔面蒼白、冷感、吐き気、嘔吐やショック症状などを伴い、狭心症より重い症状が現れます。
しかし、高齢者や糖尿病患者では、まったく胸痛を自覚しない無痛性心筋梗塞を起こすこともまれではありません。
そのため、診断が遅れることも多いのです。
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