膵臓がん
死亡者が増加傾向の第五位のがん
日本の膵臓がん発生数は増加傾向にあり、年間死亡者は一万六千人を超え、胃、肺、肝臓、大腸についで五番目を占めています。
とくに六十歳以上の膵臓がん死亡率が上昇しており、罷患率は欧米諸国とともに高い水準にあります。
膵臓は、胃の裏にある後腹膜腔に位置しており、全長十八センチ、幅三〜六センチ、厚さ一〜三センチの横に長い臓器です。
十二指腸に固まれる頭部と、休部、尾部に分けられます。
膵臓には、外分泌腺と内分泌腺とがあります。
外分泌腺は膵液という消化液を産生し、十二指腸へ分泌します。
内分泌腺は、インスリンなどのホルモンを産生し、血管へ分泌します。
外分泌腺の細胞は、腺房細胞と導管系細胞(膵管上皮細胞と腺房中心細胞)に分けられます。
腺房細胞は膵組織の九十%を占め、でんぷんを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、たんばくを分解するトリプシンなどの消化酵素を産生し、導管系細胞から水と重炭酸イオンを産生し、それらが輝管で混ざり合って、膵液となります。
内分泌腺は、ランゲルハンス島(膵島)にあるα細胞からグリカゴンを、β細胞からインスリンを産生して、血糖の調節をしています。
膵臓がんの種類
膵臓がんには、外分泌系のものと内分泌系のものがあります。
外分泌系は、膵管上皮から発生する膵管がん、腺房細胞から発生する腺房細胞がんに分けられ、内分泌系には、ランゲルハンス島から発生する島細胞がんがあります。
膵管がんはさらに管状腺がん、乳頭腺がんなどに分けられ、膵臓がんの七十〜八十%を占めており、通常、膵臓がんというときは膵管がんを指します。
膵臓がんは症状が出にくいため早期発見例が少なく、また後腹膜腔に位置しているので、周囲組織、とくに血管に浸潤しやすく、発見されたときには、すでに切除が不可能ということが多くあって、不治の病といわれていました。
しかし、画像診断の技術の進歩で早期発見例も増え、また、拡大根治術によって、近年、治療成績が向上してきています。
最近では、膵臓に生じた袋状の構造物を膵のう胞性疾患という概念で分類する場合もあります。
なかでもしょう液性のう胞腫瘍は良性悪性の判断が困難ですが、ゆっくりと発育していくため、早期に発見して切除すれば、再発率も低く、予後も良好との報告もあります。
その他、粘液性のう胞腫瘍というがんになりやすい腫瘍もありますが、早期に切除できれば、やはり予後は良好です。
島細胞がんは、腫瘍からホルモンを産生し、そのホルモン特有の症状が現れます。
今日では、島細胞以外にも、ホルモンを産生する細胞があることがわかっており、膵内分泌腫瘍と呼ばれるようになってきています。
腫瘍のなかには、単一のホルモンだけでなく、複数のホルモンを産生するものもあり、その場合、活性の強いホルモンの症状が出現します。
また、血中ホルモンが上昇していても、その特有の症状が出現しない、非機能性の腫瘍もあります。
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