がんは治る病気だと理解しよう
肺がんと聞くと、どんなことを頭に浮かべるでしょうか。まず自分が肺がんになったということを考えてみてください。
日本では、大部分の患者さんは、肺がんと聞くともうだめな病気だ、もう治らない、と決めてかかるようです。
肺がんに限らず「がん」と聞いただけで、これはもう助からないと、ひとりで決めてしまう人が非常に多いようです。とくに、お年を召している方にその傾向が強いようです。
なぜ、いまの日本人一般の傾向として、そういうことになったのでしょうか。
それにはいろいろな原因が考えられます。
ひとつには、読者の皆様には、いつもがんで亡くなった人のうわさしか耳に入らず、がんで治ったといううわさは、あまり耳に入ってこないのではないでしょうか。
他人のうわさというものは、よい話よりも不幸な話のほうが、印象に残りやすいためでしょう。
人の心理からも、こわい話、恐ろしい話は、すぐにも広く蔓延しがちなものです。
とくに、それについて正しい知識を持たず、世間話、お茶のみ話からだけ病気の知識を得ているごく一般的な人たちは、なおさらそういうわるいうわさを信じるようになると思います。
がんで治った人というのも、世間にはたくさんいるのですが、以前患者であったそういう人たちが、どういう心理状態か、そこのところは私自身ががんになって治ったという経験がないので、残念ながらよくわからないのですが、自分はがんになったけれども、手術をして治ったということをあえていいふらさないからか、それとも、自分が実際にはがんになったことをまったく知らず、医者からも家族からもほんとうの病名を知らされていなかったためではないかと思います。
いま、日本では、以前に比べてかなりの率で患者さん本人にほんとうの病名を告げることが多くなってきましたが、まだ欧米に比べて、はるかに少ないのです。
自分自身ががんという病名を知らないのですから、いくらその元患者さんであった人ががんで治った、治ったと宣伝したくても、それができないのです。
そういう理由もあって、がんという病気で治ったといううわさは、なかなか広まりにくいのではないかと思っています。
一方で、がんで亡くなった場合には、家族は医者からはっきりと死亡原因を知らされるので、隣近所の人から人へと、がんで亡くなったといううわさはすぐに広がります。
一般の人たちにがんの知識が乏しいのには、医者側と行政側のこれまでの怠慢があったようです。
アメリカのあるがん専門病院へ行くと、外来待合室に日本でいう厚生省またはその病院の専門家が書いたがんについてのわかりやすい小冊子が置いてあって、外来に来た人が、それを自由に持っていけるようになっています。
こうして一般の人たちは、詳しい知識を得ることができて、実際にその病気になっても、とまどうことが少なく、医者の説明も早くなっとくすることができます。
医者からすすめられる診断、治療法を安心して受け入れることができるわけです。
これからは皆さんも、わけもわからずにがんの恐怖にとりつかれないようになっていただきたいのです。
そして、もしがんになっても、決して絶望せず、悲観せず、積極的な気持ちで治療を受けてほしいと思います。
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