食道がんの治療
内視鏡的粘膜切除法
四センチ以下でリンパ腺転移のない食道粘膜に限局した表在がんは、内視鏡を使って切除することが可能になりました。
以前はこの程度のがんでも、食道をほとんど切除していたのですから、たいへんな進歩といえます。
最近では電子スコープのおかげで、このような表在がんの発見が増えています。
手術療法
食道の粘膜を越えたがんの場合は、リンパ腺を含む食道亜仝摘といって、食道の五分の四を切除する方法が行われます。
食道がんは粘膜を越えると、頚部、胸部、腹部のリンパ腺に転移しやすいので、胸を開き、腹部を開いてリンパ腺を切除し、さらに頚部のリンパ腺も切除しなければならず、かなりの大手術になります。
しかも、切除した食道の代わりに、胃で代用食道を作成して、胸を通して頚部の食道につなげなければなりません。
時間的には7〜8時間かかる大手術です。
患者さんはこの手術に耐え得るだけの体力と、十分な、肺、心臓、腎臓の機能を持っていることが条件になります。この条件に満たないときは、胸を開かずに、縦隔から食道だけを切除します。
この方法ですと、頚部と腹部を切開するだけでできますが、それでもかなりからだに及ぼす影響は大きなものです。
これだけの大手術をしても、従来の五年生存率は20〜30%しかありませんでした。
しかし最近では、手術方法の改良、早期がんの発見率の上昇、化学療法の発達、放射線治療などにより、40%前後に上がりました。
いかに早期発見が重要であるかが、おわかりになると思います。
抗がん剤による治療
シスプラチンとという抗がん剤が多少効果がある程度で、決定的なものはありません。
放射線治療
以前は手術前、手術後の照射に使われたこともありましたが、現在は肺合併症が多いために、あまり用いられなくなりました。
現在では、抗がん剤との併用で効果が増強されることが知られ、主として手術療法が不可能な患者の治療に使われています。
温熱化学療法
がん細胞が、正常細胞より温熱に弱く、抗がん剤に対する感受性も高まることから、進行がんを中心に温熱化学療法が行われています。
現在では、粘膜に限局した表在がんに限っては、内視鏡的に切除することによって治すことが可能ですが、その他の症例には、先に紹介した治療方法を総合的に用いて治療し、生存率の向上をめざす治療が行われています。
これは、集学的治療と呼ばれていますが、いずれにしても、定期的に内視鏡で食道を観察して、早期に発見し、早期に治療することがもっとも重要なのです。
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