大腸がんの治療
大腸内視鏡による治療法
がんの前段階として現在考えられているのは、大腸ポリープと平坦隆起性病変と平坦陥凹病変の三つがあります。
このなかで圧倒的に多いのは大腸ポリープです。これはわかりやすくいうと、大腸の粘膜にできるいぼです。
ほうっておくと、がんになる可能性があります。見つかったら内視鏡を使って切除しておいたほうが安心でしょう。
アメリカのカウボーイが、馬の上から輪になったロープを頭上で回しながら、牛の首めがけて投げて牛を捕まえるのをテレビや映画で見たことがあると思います。
切除の方法もこれに似ています。
内視鏡の先から輪を出してポリープにひっかけ、その根元で締めて高周波電流を流して焼き切るのです。
この方法はポリペクトミーといいます。ひっかかれば、どんなポリープでも切除可能です。直径二センチまでのポリープであればだいじょうぶです。
問題は平坦な病変と陥凹した病変ですが、粘膜内に生理食塩水を注入してふくらましたところに、輪をかけて根元を絞り込んで切除します この方法はEMR(内視鏡的粘膜切除)といいます。
粘膜内に限局した病変なら、たとえがんであっても切除可能です。粘膜に限局した直径二センチまでのがんであれば、ほとんど内視鏡で治療できます。
手術による治療法
大腸はひとつの管状の臓器で、その断面は四層に分かれています。
内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、葉膜と呼ばれていますが、がんがどの層まで進んでいるかによって治療法が異なってきます。
なぜそのように異なってくるのでしょうか。
腸管はリンパ腺という組織に囲まれています。リンパ腺のなかにはリンパ球があり、腸管を外敵(細菌、ウイルス、がん)から守っているのです。
粘膜内のがんは、このリンパ腺にはほとんど転移はないのですが、がんが粘膜上層にまで達すると、がんのリンパ腺への転移の確率は数%となります。
しかし、リンパ腺は内視鏡では切除することはできません。開腹手術でリンパ腺を含めて腸管を切除するしか方法はないのです。
いずれにしても、内視鏡で切除できそうな病変は、とりあえず内視鏡で切除し、その後の組織検査の結果で、開腹手術するかどうかを決定することになります。
もちろんそれより深い病変はすべて開腹手術になります。
最近では、腹腔鏡を使って大腸を切除する方法が行われるようになってきました。
腹腔鏡とは、腹部を小さく切開して、細い棒状の筒を腹腔内に挿入して、その先端のカメラの画像をテレビで見ながら、特殊な紺子で大腸を切除する方法です。
傷も小さく術後の回復も早いのですが、時間がかなりかかかるという欠点もあり、今後さらに改良されるものと思われます。
直腸以外の大腸がんの手術の基本は、がんの存在する腸管を周囲のリンパ腺を含めて切除して、腸管を吻合する方法です。
よほど進行していなければ、術後もとくに問題なく安全な手術です。
人工肛門なしの直腸がん手術も
大腸がんの手術のなかで、いちばんたいへんな手術は、直腸がんの手術です。
それ以外の大腸の手術は、よほど進行していない限りそれほど難しくありません。
直腸がんの手術がなぜ難しいのかというと、この部位は肛門から十センチまでのところで、膀胱とか生殖器に関係する神経が多いからです。
以前は、完治をめざして、この神経まで切除していました。
ところが、手術のあとに自力でおしっこができなくなったり、男性は勃起不能になったりする人がかなり多かったのです。
しかし、その後、神経を切除しない手術法でも再発率があまり変わらないことがわかって、現在では神経を残す縮小された手術が主流となっています。
そして、以前の直腸がんの手術は、その半分以上が人工肛門をつくらなければならなかったのですが、現在では肛門から五センチまでのがんは、人工肛門なしで手術可能です。
この場所の手術は、医師から十分説明を受けてからにしたほうがよいでしょう。
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