胃がん
年間五万人も死亡する
がんは増加傾向にありますが、冒がんは減少傾向を示しています。胃がんの死亡率も同様に減少傾向にあります。
しかし、一九九三年までは、がんの死因のトップでした。今後はさらに減少していくものと思われます。
これは、胃がん検診で早期の胃がんが発見されるようになったからです。
もちろん、診断技術の進歩や治療技術の進歩も、これに貢献しています。
早期の冒がんなら手術によって、ほとんど治るのです。
また、日本人の食生活の変化も、大いに関係しています。塩分を多く摂る地域に胃がん患者が多いということは、疫学的な調査でわかっています。
日本人の食卓には、梅干し、味噌汁、漬け物など塩分を多く含んだものが日常並んできました。
最近では、食生活の欧米化とともに、高血圧予防のための減塩傾向が、世間に広がったために、冒がんの発生そのものが減少傾向になっていると考えられます。
しかし、まだ年間約五万人近い人が胃がんで亡くなっています。
胃の働き
ものを飲み込むと、まず長さ約二十五センチの食道を通って、胃の入り口に到達します。ここを噴門といいます。
噴門を通過すると、まず底部というお椀の形をした部位にいったんたまり、そこから胃の休部と呼ばれる胃の中心部を通過して出口に近い前庭部にたまります。
そして、幽門と呼ばれる括約筋でできた出口から十二指腸という小腸へと運ばれていきます。
胃には食べたものを貯留する働きと、胃液によって食物を消化する働きがあります。
また、胃の構造は、内腔は粘膜でおおわれており、その下に粘膜下層、固有筋層の順で層状構造をなしていて、いちばん外側は葉膜という膜でおおわれています。
胃がんの発生
胃がんは胃の粘膜から発生します。予後は大きさより深さに左右される原因としては、遺伝的な要因に外的な刺激が加わって発生するようですが、正確なところはまだわかっていません。
塩分の摂りすぎは、疫学的に胃がんの発生を増加させる重要な外的因子といわれています。
胃がんの生活史は長く、一個のがん細胞が数ミリメートルのがんになるためには、数年かかるといわれています。さらに、進行がんになるまでに約五年から十年かかるといわれています。
胃がんの予後は、その大きさより深さが左右します。
粘膜と粘膜下層までのがんは、早期胃がんといい、それよりも深いがんは進行がんと呼ばれます。
早期胃がんは、手術療法で約98%は治ります。この時期に治療することが重要なのです。
もちろん医学の進歩のおかげで、進行がんもかなり治るようにはなりましたが、それでも約半数の人は亡くなります。
早期がんでは、ほとんど胃のまわりにあるリンパ腺には転移はありません。
しかし、進行がんでは、リンパ腺のみならず、血管を介して肝臓、肺などの臓器や、直接近くにある他の臓器に転移する可能性があります。この他臓器への転移がいちばん恐ろしいのです。
転移の前に治療できるかどうかが、生死を分けるといっても過言ではありません。
萎縮性胃炎 加齢とともに胃の粘膜に萎縮性の変化が現れ、胃酸分泌が減少、胃がんが発生するケースもある。
症状早期は症状がないが便が黒ずんだら注意
早期冒がんの症状はほとんどありません。
早期冒がんの見つかるケースでいちばん多いのは、胃炎や胃潰瘍で胃のあたりが痛いというので胃カメラを飲んだら、たまたま見つかったというのが圧倒的に多く、そのつぎに多いのは冒がん検診です。
このように早期の段階で治すには、定期的な検査が必要なのです。
進行がんの症状には、胃のあたりの痛み、食べると吐く、おなかにしこりを触れる、おなかが張るなどがあります。
また、トイレに入ったときは、必ず自分の便を見るくせをつけてください。
胃からの出血の場合は、便が黒っぽくなります。
出血の量が多い場合にはコールタールのように真っ黒になります。このようなサインを見逃さないことです。
いずれにしても、冒がんの場合は、かなり進行しないと症状が出ません。むしろ、胃炎や胃潰瘍のほうが自覚症状があるのです。
何度もいいますが、定期的な検査がたいせつなのです。
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