自宅でもできる子宮頸がん検診
子宮がんには、子宮の入口(頸部)にできる子宮頸がんと、子宮の中(体部)にできる子宮体がんがあり、その割合は7対3で子宮頸がんが多くなっています。
婦人科がんのなかでもっとも多いのが、この子宮頸がんで、日本では毎年約3000人が亡くなっています。
子宮体がんは出血するので比較的初期に見つけられるケースが多いのですが、子宮頸がんは初期の自覚症状がほとんどあリません。ですから、がんが進行する前に見つけるには、定期的に検診を受けることがもっとも効果的です。
ところが、医療関係者や自治体が啓蒙している子宮がん検診の受診率は、欧米では対象者の80~90%に達しているのに対し、日本では自費で病院を訪ねて検診する人たちを含めても20~30%程度といわれており、かなり低いことが問題になっています。
なぜ受診率が上がらないのか調べたところ、その一番の理由は、「恥ずかしい」「忙しい」が常に上位で、特に若い人、未婚の人は特にその割合が高くなっています。
そこで検診の方法を変えないとなかなか受診率は上がらないだろうと、現在は、自宅で、自分でできる検査キットの活用を呼び掛けています。
ふつうの子宮がん検診は子宮の入口の細胞をチェックするのですが、この検査キットは、綿棒で腫内をこすって粘液をとるという簡単なもの。
それでも、病院での検査と同じくらい高い確率で病変を発見することができます。
子宮頸がんの原因はヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)が原因だということははっきりわかっていますので、そのウイルスに感染しているかどうかを調べるのがこの検査キットなのです。
ひとくちにHPVといってもそのウイルスには100種類以上のタイプがあり、そのうち子宮頸がんの原因となる「高リスク型」と呼ばれるウイルスはほんの一部。
その高リスク型のウイルスに感染していたとしても子宮頸がんを発症するのは約1000分の1、それも約10年の期間をへて発症することがわかっています。
HPVには、女性の7~8割が一生に一度は感染するといわれています。
あるデータでは、細胞診(細胞の変化を調べる検査)で正常だった人でも、20代で約20%、30~80代で約10%がウイルス陽性でした。
30代以上で数値が低いのは、免疫力でウイルスが自然に消滅するからだと考えられています。
しかし、まれにHPVに長く感染した状態が続くこともあり、そうなると細胞が変化を起こす「異形成」(前がん状態)になることもあります。
この段階でも、身体の免疫力で自然に正常な細胞に戻ることが多いのですが、中には「異形成」の程度が強くなり、約10年かけてがん細胞になってしまうこともあるのです。
ちなみに「異形成」はがん検診で発見することができますので、この段階で治療をすれば、がんにはなりません。
女性を子宮頸がんから守るには、予防と早期発見がもっとも重要です。
その大きな手助けとなるのが、ヒト・パピローマ・ウイルス検査キットなのです。
キットは、インターネットや電話、ファクシミリでお申し込みいただけます(税込み・送料込み・決済手数料込みで4750円)。
届いたキットを使って粘液を採取し、それを医療機関に送付すると、検査結果をインターネットや封書で確認することができるのです。
通常の子宮がん検診が約3000円ですので、空いている時間を使って自宅でできるこの検査キットの値段は決して高いものではないと思います。
ただ、この1年で受け付けたのは116件ですから、まだまだ認知されていないのが現状。
これまで「恥ずかしい」「忙しい」と病院での検査を受けられなかった方にも、ぜひご活用していただきたいものです。
20~30代にも増えている子宮頸がん
HPVに感染したとしても、それが持続感染し、細胞の異形成をへてがんになるまでには10年以上かかります。
ですから、20~30代にHPVに感染してそれが排除できず、40~50代に発症するというのが子宮頸がんのピークです。
しかし、現在では20~30代での発症も増えてきています。
もちろん初期のがんが多いのですが、早く見つけないと子宮を摘出しなくてはいけないケースも出てきます。
子宮頸がんの進行状況は大きく分けて0期~Ⅳ期までありますが、子宮を摘出せずに治療できるのは基本的に0期とIa期までの状態。
自覚症状はまずありませんので、検診を受けなければ発見することができません。
それより進行したIb期になるとふつうなら子宮をすべて摘出し、リンパ節まで取らなくてはなりません。
さらに放射線や抗がん剤による治療も必要となります。
Ib期でもがんが2センチ以内であれば子宮を残す手術はできますが、これは開腹して8時間ほどかかる大きな手術なのです。
患者さんにとってもかなり負担が大きく、しかも子宮の入口がほとんどない状態になってしまいますので、約3割の方に流早産が見られます。
また進行がさらに進み、Ⅲ期、Ⅳ期になってしまうと、治療費も高くなりますし、治療を施しても、約7割の方が亡くなるという現実があります。
こういう現状ですから、子宮頸がん検診では異形成、0期で発見することが何よりも望ましいのです。
若い女性にとって、子宮を失ってしまうということはたいへんな悲しみ。
それを避けるためにも、何度も繰り替えしますが、検診を受けることがとにかく重要です。
それも、20代のうちから毎年の受診を受けてほしいものです。
子宮頸がんはほかのがんと違い、その原因がヒト・パピローマ・ウイルスとはっきりわかっていて、発がんを予防する方法もあります。あとは検診の普及だけなのです。
子宮頸がんの患者さんやその原因となるヒト・パピローマ・ウイルス陽性の女性に対して、性交渉年齢が低い、性交渉の柏手が多いなどの偏見がまだあるようですが、
これは明らかに間違っています。インフルエンザ・ウイルスと一緒で、だれでもかかる
もの。欄殊なひとだけが感染するわけでは決してありません。
ウイルスの有無を調べると約9割の人が陰性です。仮に陽性であっても、通常なら2年ほどで身体の免疫力でウイルスは消滅するケースが多いのです。
ウイルス反応が陽性だからすぐにがんになるわけではないということも、ぜひご理解いただきたいと思います。
ただし、陽性反応が数年持続するかしないかが、子宮頸がんになる可能性に大きくかかわってきますので、それをご自身で確認するためにも、ぜひ子宮がん検診を、あるいは自分でできるウイルス検査キットの活用をお勧めします。
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