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生活習慣病の原因:食生活の乱れ
肥満は成人病のデパート
戦後、日本人の食生活は大きく変わりました。
ごはんと野菜を中心に少量の肉、魚を摂るという伝統的な食事から、肉、魚を主とする欧米風の食事に変わりました。
動物性たんぱく質、脂肪の摂取量は著しく増加しています。
厚生省の国民栄養調査によれば、総エネルギー量に占める脂質の割合は、昭和30年に約九%だったのが、年ねん増えて、平成八年には約26.5%に達しています。
脂肪は糖質、たんぱく質に比べ、二倍以上のカロリーがあります。その結果、肥満が増加しました。
肥満は成人病のデパートなどといわれています。
合併しやすい成人病をざっと並べると、高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、動脈硬化症、胆石、脂肪肝、乳がん、子宮がん、心臓病、脳卒中……などと、驚くほど多いのです。
肥満している人とそうでない人を比較すると、糖尿病で4~21倍、高血圧症で2~3倍、心筋梗塞で2倍以上も発症率が高いと報告されています。
当然、子どもにも脂肪の過剰摂取による肥満が増えています。
それに伴って子どもにも糖尿病、高脂血症(高コレステロール血症)が増えてきています。
子どもの糖尿病といえば、以前は膵臓のインスリンをつくる細胞が壊れて起こるインスリン依存型糖尿病を指していたのですが、いまは肥満が原因で起こるインスリン非依存型糖尿病、つまり成人病型の糖尿病も目立って増えてきました。
また、高脂肪食は低繊維食とともに、大腸がん増加の理由にもあげられています。
とくに動物性脂肪は酸化の過程で発がん物質をつくり出し、腸管粘膜を刺激して発がんを促進するとされています。
食物繊維の摂取が足りないと、腸内細菌のバランスが乱れて、発がん物質が生成されやすくなり、加えて便秘がちとなるため、それが腸内に長くとどまることになって、がんが発生しやすくなるとされています。
さらに高脂肪食は、膵臓がんの危険因子でもあり、乳がんも高脂肪・高エネルギー食を好む女性に多いことが統計から明らかになっています。
脂肪には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
牛肉、豚肉、バターなど動物性脂肪に多く含まれているのは飽和脂肪酸で、これは血液中の悪玉コレステロールを増やします。
そして、悪玉コレステロールは動脈硬化を促進し、狭心症、心筋梗塞を引き起こす最大の危険因子です。
食と生活の乱れ
ひとことでいえば、現代は「忙しい時代」です。
夜遅くまで働き、あるいは遊んでいるために、朝起きるのがつらく、朝食を抜いて出勤、昼は会社近くの食堂で急いで食べ、夜は接待や付き合いで酒を飲む、その後に夜食……という人が多いようです。
女性も働いているため、外食が多かったり、家庭の食事は加工食品が多くなったりしがちです。
朝食を抜いて一日二食にすると、逆に一回の食事量が増えます。
忙しくて急いで食べると、満腹感が起こる前におなかに大量の食物が入ってしまいます。
外食は塩分と油分が多く、栄養が偏りがちです。加工食品は高脂肪、高エネルギーのものが多く、意外に塩分やリンが多く含まれています。
こうした食生活の乱れが成人病の原因になっています。
日本人の塩分摂取量は昭和63年に一日11.7グラムまで減ったのですが、その後ふたたびじりじり増加しています。
塩分の摂りすぎは血圧を上昇させるとともに、胃がんの発生をうながす因子のひとつです。
また、常習飲酒者(週三日以上、一回日本酒なら一合、ビールなら大瓶一本以上飲む人)は、40〜50代の男性では50%を超えています。
アルコールの飲みすぎは、肝障害、膵炎、高尿酸血症・痛風、高血圧症、糖尿病などを招きます。
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生活習慣病と喫煙の関係
喫煙本数が多い人ほど成人病の発症率は高い
喫煙が健康によくないことは、いまやだれでも知っています。それでもやめられないのは、たばこの持つ習慣性(いわば中毒)によります。
タバコを吸う人はピタミンCやベータカロチンを毎日摂るとがんの発生率が下がるというデータはありますが、たばこの害を確実に防ぐには禁煙しかありません。
最近は禁煙ガム、禁煙パイプなどの禁煙グッズも売られており、禁煙教室や禁煙セミナーを開いている病院や自治体も増えてきましたので、それらを利用するのもひとつの方法です。
一日の喫煙本数が多いほど、各生活習慣病の発病率が高くなることは数かずの研究データが示しています。
しかし、禁煙をすれば発病率は下がってきます。
ヘビースモーカーは「いまさら禁煙しても遅い」と開き直っているようですが、「いまからでも遅くありません」、禁煙の効果は必ずあるのです。
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成人病から生活習慣病へ
食生活、喫煙、飲酒やストレス、運動などが関与 成人病には、生活習慣が深くかかわっていることが明らかになっており、近年、『生活習慣病』という新たな概念が導入されました。
生活習慣病は、『食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群』と定義されており、生活習慣に気をつけることによって病気の発症を予防しようという「一次予防」を重視しています。
その背景には、生活習慣に気をつけて病気になるのを防ぐことによって、膨脹の一途をたどる保険医療費の増大を食い止めようというねらいもこめられています。
生活習慣病の範囲は非常に広く特定の疾患が指定されているわけではありませんが、糖尿病 (非インスリン依存型)、肥満症、高血圧症、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症(痛風)、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん、肺扁平上皮がん、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝疾患、歯周病などが、その範囲として例示されています。
虚血性心疾患の10大危険因子は
・高脂血症 ・高血圧 ・喫煙 ・肥満 ・糖尿病 ・高尿酸血症・痛風 ・遺伝 ・性格 ・運動不足 ・大量の飲酒習慣
たとえば、虚血性心疾患の十大危険因子は、(1)高脂血症、(2)高血圧、(3)喫煙、(4)肥満、(5)糖尿病、(6)高尿酸血症・痛風、(7)遺伝、(8)生活(A型行動パターン)、(9)運動不足、(10)大量の飲酒習慣です。
このうち(3)、(9)、(10)は本人の無自覚が、(1)、(4)は食生活の誤りが関係しており、(2)、(5)、(6)も肥満、食生活がかなり関係しています。
(8)はストレスと関係しています。(7)は避けられない因子ですが、遣伝のみで成人病が発症することはまずありません。
つまり、食生活、喫煙、飲酒、ストレス、運動などの生活習慣が、虚血性心疾患の発生および進行に大きく関与していることがおわかりでしょう。
他の成人病も同様です。
私たちは成人病を引き寄せるような生活をしているのだということを自覚し、これを是正しなければいけないところにきているのです。
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酒とたばこの弊害
アルコールがもたらす病気は、よく知られているのは肝障害とアルコール依存症ですが、他にもたくさんあります。
それでもアルコールは適量ならば有用性もありますが、たばこにいたっては「万病のもと」といわれるほど有害性が高いことがさまざまな研究で明らかになっています。
適量の酒はストレスの解消になったり、善玉コレステロールを増やして、虚血性心疾患の予防に役立ちます。
アルコール健康医学協会がまとめた「正しい飲み方」はつぎのとおりです。
・楽しい雰囲気で飲む。
・相手にむり強いはしない。
・時間をかけて飲む(短時間で飲むと血中アルコール濃度が急激に上昇し、危険)。
・食べながら飲む(良質のたんぱく質、海藻、緑黄色野菜など)。
・量は一日ビールなら大ビン1〜2本、日本酒なら1〜2合、ウイスキーならダブル1〜2杯までとする(純アルコール換算で約四十二グラム)。
・夜十二時以降はやめる。
・毎日続けて飲まない(週二日は一滴も飲まない日をつくる)。
・薬剤といっしょに飲まない。
・強い酒は薄めて飲む。
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生活習慣病の原因:ストレス
働きすぎ人間がたどる脳血管障害、心臓病
現代はあらゆる面で高度化、スピード化が進み、ストレスも増大しています。
ストレスは外界から加わる刺激に対する心身の反応ですが、過剰になるとさまざまな障害を引き起こします。
心身症、うつ病といった心の病をはじめ、胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、高血圧、心臓病などがストレスと関連の深い病気です。
また、ストレスは神経系、内分泌系、免疫系に影響を及ぼすので、成人病が発生しやすい体内環境をつくります。
日本人は働きすぎといわれたのはかなり前の話のようですが、近年でも、働きすぎて肉体、精神に過大なストレスが加わり、過労死に至るケースをよく耳にします。
その死因となる病気はほとんどが脳血管障害と心臓病です。
とくに、高度成長期にビジネスマンの鏡といわれたようなA型行動パターンの人(負けずぎらいで精力的、しごとひと筋の会社人間)は、ストレス病や虚血性心疾患にかかりやすいといわれています。
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生活習慣病の原因:タバコの害、運動不足
いろいろながんの発病率が高い
たばこの有害性は、いまや広く知られていますが、現在でも男性で59%、女性で15%が喫煙しています。
喫煙者は非喫煙者に比べ、男性では喉頭がんで32倍、肺がんで5倍、肝臓がんで3倍も発病率が高いことが報告されています。
運動不足
交通手段のない時代は、なんと一日三万歩も歩いていたそうです。現代は電卓、バス、とくにマイカーの普及によって、歩くことは極端に減りました。
ある調査によると、サラリーマンが一日に歩くのは時間にして平均四十八分、歩数にして六千歩程度です。
また、厚生省の調査によると、運動する習慣(週二回以上、一回三十分以上の運動を一年以上継続)のある人は、男性で二十四%、女性で二十一%にすぎないという結果が出ています。
運動不足が肥満を招き、筋肉・骨の衰えを早め、心臓や血管、肺、脳などの老化を促進し、成人病になりやすい体内環境をつくります。
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