三大成人病の変化
疾病構造の変化は、成人病のなかでも起こっています。
三大成人病は、悪性新生物(がん)、心疾患(心臓病)、脳血管疾患(脳卒中)です。
脳血管疾患による死亡が結核によるそれを抜いたのは昭和二十六年で、以来、脳血管疾患がずっと死因の一位を占めてきました。
それが昭和五十五年頃にがんに抜かれ、五十九年頃に心疾患に抜かれました。
がんによる死亡は、脳血管疾患によるそれを抜いてトップに立って以来、右肩上がりに増え続けて、いまやざっと年間二十七万五千人が、がんで死亡しています。
そして、二位が心疾患、三位が脳血管疾患、四位肺炎・気管支炎の順がしばらく続きましたが、平成七年に死亡診断書の書式が改定されて、「疾患の終末期の状態としての心不全、呼吸不全など」を死因としないことになった結果、平成七年、八年は、脳血管疾患が心疾患を抜いて死因順位の第二位となりました。
その後ふたたび心疾患が第二位と返り咲き、平成九年度の厚生省の調査では、総死亡人口のなかでがん、心疾患、脳血管疾患の三大成人病が占める割合は六十・六%、その内訳は、がん三十・一%、心疾患十五・三%、脳血管疾患十五・二%となっています。
さらに、成人病それぞれの疾患のなかでも構造的変化が起こっています。
たとえば脳血管疾患では、脳出血は血圧がコントロールされるようになって以来、確実に減少してきました。
そして、以前は少なかった脳梗塞がじりじりと増え、いまや脳血管疾患の主役となっています。
また脳梗塞は、脳血管性痴呆を引き起こす病気としても注目されています。
心臓病も心筋梗塞、狭心症が増えているといわれながら、かつては統計的には心不全のほうが多い状態でした。
しかし、死亡診断書の書式改定に伴い、虚血性心疾患が心不全を上回りました。
つまり、いま成人病は、脳梗塞および心筋梗塞や狭心症といった動脈硬化性の病気が重要な位置を占めているのです。
では、がんはどうでしょうか。
死亡率のトップは、減少傾向はみせているものの現在も胃がんです(男性で二位、女性で一位)。
二位は肺がん(男性一位、女性二位)で、急激に増加しています。
また、大腸がん、肝臓がん、乳がん、子官がんなども増えてきています。
ただ、がん全体では発生率に変化はなく、社会の高齢化に伴って患者、死亡者数が増えているにすぎないとする統計もあります。
しかし、がんはあいかわらず死因のトップであり、ライフスタイルの変化とともに、がんの種類も変化しつつあることはたしかです。
このような成人病における疾病構造の変化、増加や低年齢化の背景には、おとなから子どもまでの誤ったライフスタイルがあると考えられます。
成人病は私たちの生活と密接にかかわっており、よくもわるくも私たちの生活が変われば、成人病も変わるということを、まず自覚する必要があります。
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